紙本明子

特技: 身近な人のものまね。おばけのQ太郎の登場人物「ゆうこさん」の声まね。 |  好きな食べ物: ミンチ肉、こんにゃく、くだもの |  好きな異性のタイプ: おめっちゃ面白い人(めっちゃじゃないとダメだよ。) |  人生の一言: 続ける事も才能 |  人生の一曲: Got To Be Real
役者歴: 京都造形大学陶芸科卒。大学3回生の時、バイト先で黒木陽子に出会い、衛星入団のきっかけとなる。2001年6月より入団。劇団星衛での出演を経て、2003年6月「劇団衛星のコックピット」よりレギュラー出演。

生年月日: 生年月日 1979.11.13 |  血液型:  B型 |  星座:  さそり座 |  出身地:  マレーシア |  身長: ミニモニ。に入れるくらい |  体重:  佐倉魔美くらい |  サイズ B 80 / W 60 / H 85 / 靴のサイズ 23.5cm

KLT(京都ラッキータイム)

文責・紙本明子最終更新/2017年12月15日
紙の本のススメ 第20回 「熟考のための・・」
「読書は、論争のためではなく、そのまま信じ込むためでもなく、講演の話題探しでもない。それは、熟考のためのものなのだ。」
Francis Bacon(フランシス・ベーコン)

フランシス・ベーコンのことを少ししらべましたら、超天才でした。



哲学者、神学者、法学者。12歳でケンブリッジ大学に入学。その後、法律を学び、23歳で国会議員となる。彼は、「知識は力なり」という言葉とともに知られ、学問の壮大な体系化を構想していた。体系化の構想はヴォルテールやルソーなどのフランス百科全書派にも引き継がれた。(wikipediaより参照)

本を読んだあと、わかった!と決断してしまう。答えをいただいてしまう。のは、読書じゃねー!(私はそういったハウツー本を読むのも好きですよ) というフランシス・ベーコンの名言とともに、今日は、この一冊をご紹介だ。


「裸足で逃げる ー沖縄の夜の街の少女たちー」 筆者:上間陽子(太田出版 2017)



ジャンルは上間さんによる、沖縄で風俗業界で仕事をする女性(主に10代〜20代)のエスノグラフィー。
2012年〜2016年に行われた調査の記録です。

まずは、筆者をご紹介。
上間陽子
沖縄県生まれ。琉球大学教育学部研究科教授。
専攻は教育学、生活指導の観点から主に非行少年少女の問題を研究。
1990年代後半から2014年にかけて東京で、以降は沖縄で未成年の少女たちの調査・支援に携わる。

この本には、6人の女性と上間さんが登場する。
調査対象の6人のほとんどが、家庭環境が複雑で、DV被害者やレイプ被害者であり、10代で子供を産んだシングルマザーである。
でも、これはそういった「カテゴリーされた女性」の話ではなくて、一人一人の方のお話であり、上間さんのお話だった。

読みながら、何度も目頭があつくなり、
「目の前で苦しんでいる人をほっとけない。」
そういう感情やそれによる行動は、何よりも優先されるべきだろうと、思った。

ーーーー
診察室に入った亜矢と私をじろじろ眺め、初めて会った私に亜矢との血縁を尋ね、血縁関係はないと私がいうと、「自分のお母さんには話せないですか?」と、咎めるような口調で亜矢に尋ねた。
(中略)
医師は大げさなため息をついたあと、「性病をもっているかもしれないので」といいかけたので、「STD(=性感染症)、エイズの検査もろもろ、今日お願いします。ここ病院ですよね?」と、私は一息にいった。
(中略)
医師は、亜矢が答えたくないであろう質問を矢継ぎ早に繰り返し、亜矢の妊娠を問題にした。そして亜矢の子どもの父親と、亜矢が妊娠をしている子どもの父親が異なることをあえて可視化して、亜矢のことを異端児とみなした。
医師からの質問に、亜矢が「ただちに戦闘開始」という姿勢になるのは、そのような眼差しのもとで否定されて尊厳を奪われるようなことが、亜矢の日常生活にあふれているからだ。
あなたが知っている生活がすべてではないと、その医師の顔をひっぱたいてやりたいと私は思った。だが一方で、自分にも怒っていた。
亜矢に関わることを話すのは、亜矢でなくてはいけなかった。
自分の顔もひっぱたいてやりたいと思いながら、硬い椅子に座って亜矢を待つ。(裸足で逃げる 「病院の待合室で」P142,143,144より)
ーーーー

ヒアリングをおこなっている対象者と一緒に、中絶手術のため病院に同行し診察に同席した際の医師とのやりとり。
調査者の上間さんが、状況に巻き込まれまくったあげく、自分をなぐりたい気持ちで打ちひしがれる。
読んでいる私も、その時の病室に最悪な空気を感じ、医者への怒りを感じた。

医者だって色々あって、何か、そう言わざるを得ない状況だったんじゃないか。などという、よくわからないバランスをとったりするが、それは、自分を守るための嘘だ。
怒りを感じる。
それでいいやん。
と、なんともいえない事が腑におちた。

この本に出てくる女性たちの人生は壮絶でエグい。
読み返しても涙が出る。
なんで泣けてくるんやろうと思う。
どうにもできない悔しさなのか、彼女たちの辛さが染み込んでくるからなのか。
そばで彼女たちの話を聞いているかのような錯覚が生まれる筆者の文章力よ。

私たちは、責任の所在をはっきりさせたりさせなかったりする。
自分が利害関係にない場合、責任を空にほうりあげて、ふわふわと漂わせる。
「社会の問題だ」みたいな。
漂わせてももちろん解決もしない。自分には解決できないし。
そして、放り投げるから、対岸の火事になる。
対岸にいると、理解できなくなる。

この本には、対岸からこっちの岸に連れてこられる力がある。
すごい本だ。
まいったなあ。


おわり