F.ジャパンの「日々是精進」

『キーワードは内省』


「演劇で学ぼう」の効能のキーワードは内省ではないか。

現代社会の中では内省に痛みや恐怖の記憶を伴うことが多いのではないか。
自分は内省に危険が付きまとっている感覚を持っている。
内省イコール反省になってしまう事も多い。振り返りの場で反省の弁を述べる事が多い。
そして自己批判ならまだしも自己否定になることも多い。
だけどそれは振り返りや内省ではないのかもしれない。
それは自分を尊重する事が難しいのだろうと思う。
他者を尊重しようというマインドが、なぜか自己には向きにくい。
尊重が関係性は痛みを伴い、痛みのみを感じ、その痛みを回避しようとマッチョになって勝とうとしたり、無感情になったりする事も多い。
内省を逃れ、自己を尊重しない評価をし、今の自己を排除し、未来の理想の自己を認めるような思考回路になってしまうのではないか。
自分で自己を評価することによってある種の痛みを防いでいるのだろうと思う。
内省が自己との対話を可能にするのだろうと思う。
内省がうまくできなくなると、どんどん自分ではなく他者の価値観や他者の視線が基準になってくるのだろうと思う。
自尊感情や自己肯定はナルシズムのような類ではなく、正しく内省できる心理状態の事を言うのであろうと思う。
日記は記録という面と、自己との対話を可能にするツールであろうと思う。
誰にも見せない事を前提としていても、自己と対話することは勇気がいる。
内省がうまくできると他者との協働もしやすくなるのではないか。
自己を尊重することができてようやく他者を尊重できるようになるのではないか。
醜いと感じる自分を否定したり排除したりしようとせず、尊重し、まず対話を試みる。
他者からではなく自己から始めてみる。
その評価を求めない。

困難や課題に対峙するときに「立ち向かう」や「打破する」という形式だけではなく、「受け入れる、向き合う」という事も大切にしなければいけない。
現状は「受け入れる」事を「屈する」というように直感的、あるいは身体的に捉えてしまい、否定してしまう事も多いように思う。
支配欲と同じように、支配されたくない欲が強い人もたくさんいる。
その要因の一つとして内省に紐ずく負の記憶が大きく関わっているのではないか。


【近々の予定】
『珠光の庵』2023年夏に、韓国・ソウルで上演します。
2023年8月31日〜9月2日(予定)
詳細は決まり次第お知らせします。
製作note更新中
https://note.com/gekidaneisei/m/mb0c289133747