狩野川河川敷球場は、いつになくヒートアップしていた。
マウンドには、畠中龍。かつては「甲子園確実」とまで言われた豪椀球児であったが、やむを得ない家庭の事情(注1)から、野球部を退部した過去を持っていた。
そして彼には、どうしても負けられない理由(注2)が、しかし世間的に見ればそれほど重大でもなさそうな、理由があった。
バッターボックスには、か細い女性が。医療法人先心会五條病院に勤務して2年目の彩乃は、高校時代、弱小ソフトボール部に所属していたが、さらに補欠であった。
そのバットを持つ手も頼りなく、万に一つもあの球を打てる可能性はないように思われた。が、その目には、抜き差しならない燃え盛る闘志が宿っていた。彼女にも、どうしても負けられない理由(注3)が、それも世間的に見てもとんでもなく重大な、理由あった。
1打逆転サヨナラの場面が演出された9回裏ツーアウト満塁。「負けられない2人」の、全てを賭けた真剣勝負、運命のフルベース…。

(注1)この事情は、公演当日のパンフレットか劇中でかなりあっさり明らかになります。
(注2)この理由は、公演当日のパンフレットか劇中でかなりあっさり明らかになります。
(注3)この理由は、公演当日のパンフレットか劇中でかなりあっさり明らかになります。
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