【第五回】

皆様お久しぶりです。

気が付いたら11月に入っていました。つい昨日が8月ぐらいだった気がするんですけど。え?ちがうって?正解です。

気温もどんどん下がり、あの猛暑は何だったの...?真夏の夜の夢...?と疑ってしまうような寒さです。
寒いとついあたたかいものを求めがちで、帰ったら家にトトロが寝っころがってないかなぁとかつい考えてしまう。

ってな感じでちょっと可愛い発言してみたんですけどどうですか?

お前にそんな可愛さは必要ないといったそこのあなた、今すぐ全力で鼻フックかましにいきますのでじっと待っててください。


嘘です。


寒い季節になると、私毎年悩まされる事案があるんです。
皆さんも困ること多いんじゃないでしょうか。

そうです。

冬はカメムシが多すぎてカメムシと同居しちゃう案件です。

「住んだなっ....!?
 男性ともまだ同棲したことないのに!!(CV:アムロ)」

素敵な男性より先にカメムシに初同棲を奪われました。

つい一昨日ぐらいにもありました。

私、上着を枕元に置いて寝るタイプなんですけど、
朝起きて上着を着た瞬間、なんとなくくっせぇキュウリのにおいがしたので


「あ....カメムシと一晩一緒に過ごしちゃった....///」


と顔を赤らめながら秒速で上着を脱ぎながらべランダに直行し、そして室伏選手もびっくりな勢いで上着をぶんぶん振り回してしまいました。上着もハンマーみたいにぶん投げてついでに叫びたい気分でしたが、さすがにやめました。

顔を赤らめたのはもちろん気持ち悪すぎて息を止めてしまっているからです。

そんな感じで一方的に好かれちゃってまいっちんぐまちこちゃんです。
「古い」、ダメ、絶対。

そんな感じでカメムシとはソウルメイトみたいな感じで仲良くさせてもらってるんですけど、

去年とっても印象的なカメムシがいたから、その彼について、お話しちゃいます。




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1年前。


私はその日、用事で大阪に向かう日だった。
いつもより朝が早い。おまけにちょっぴり特別で、おめかしが必要な日。

まだ眠りたがっている体をいたわるように、少しずつ起こしていく。

毎日同じ朝の支度も、特別な日だと、なんだか違って感じるな、
なんてことを考えながら、少し大人っぽい衣装を身にまとって、家を出る。

今日は雨だ。

しとしと降り注ぐ雨を眺めながら、電車に乗りこんだ。
何も変わらない。でもちょっぴり特別な日。

でもそんな「ちょっぴり特別な日」は、彼が現れたことによって「とても特別な日」へと変わる。

私はこの時まだ知らない。知るはずもない。
すでに彼との思い出が少しずつ、膨らみはじめていることは−−−。



電車を降りると、ある独特な香りが鼻をくすぐった。
なつかしい、こどものころによく嗅いだ、あの青みのあるにおい。

辺りを見まわすと、秋であるにもかかわずまだまだ枯れる気のない、緑に生い茂った木々。

この香りは、この木々たちに隠れているのだろうか。
すこしとがったその香りに、秋の訪れを実感する。

しかし、木々たちが私の背中を遠く見つめる距離は歩いたはずなのに、
香りは私のまわりをやさしく漂うどころか、強弱をつけて私の鼻を刺激しはじめる。



ひょっとして、彼.....?



緊張した面持ちで、私は自分の体に目線をやる。
だが、彼の姿は見当たらない。
少し安心した私は、大きく息を吸い、お気に入りのカバンを勢いよく肩にかけなおす。
そして目的地に向かって、また歩み始める。



そう。正直、彼とはあまり良い思い出がない。

12年前、私が今の家に引っ越してきたときから、彼は私に執拗につきまとい、私の嫌がる姿を楽しむかのように周りをうろつく、いわゆる「ストーカー気質」な奴だった。

私はできるだけ彼を避けてきたが、彼の行為は過激さを増し、ついには夜中に窓から侵入し、私の部屋でぶん、ぶん、と騒ぎたてるようになった。

私の彼氏にでもなったつもりでいたのだろうか。
告白もされていなければ、声をかけられたことすらないのに。

ただ、私の周りをうろつき、機嫌を損ねれば彼特有の香りを残し、姿を消してしまう。

そんな毎日に限界が来た私は、汚いものでも扱うかのように、彼を拒むようになった。

私の前に二度と姿を現さないように。
二度と視界に入らないように。

彼と出会うすべての方法をシャットアウトした。


したはずだった。


そんな出来事からはや1年。


彼は、再び私のもとに現れた。


それも、恐ろしい形で。


目的地に着いてもなお、消えることがない香り。

屋内に入り、上着を脱ぐ。

また、おそるおそる彼の存在を確認するが、やはり見当たらない。
しかし私の体からは、明らかに人間が放つはずのないにおいがただよい、あたりにまき散らしていた。

隣の女性がふとこちらをうかがう。
きっと、彼女も感じ取ったのだろう。

彼の存在を。


その瞬間−−−。


猛烈な香りが、私の左肩を襲う。


ただならぬ悪い予感を察知した私は、無言で、そして颯爽と、その場をあとにした。


そして、トイレの前まで来たところでふと立ち止まり、心の中である一言を放つ。




「決着を、つけねば。」



顔をあげる。
周りには大勢の人がいる。しかし、彼の登場に周りを気にする余裕などは一切なかった。

なぜなら。


やらねば、やられるからだ。


すでに私は大きなダメージをくらっている。
嗅覚もほぼきいていない。

今やらねば、私はここで人目もはばからず倒れ伏すことになるだろう。


一瞬で ゴミ箱、紙の存在を把握し、息をのむ。


左肩に目をやる。


すると、服に不自然なふくらみを見つける。





彼だ。




覚悟を決めた私は、左肩のえりを大きくめくった。





いた。



やはり、彼だ。




体の震えが止まらない。
ブラジャーの肩紐も丸見えだ。
だが、私の生身の左肩に、彼が音も立てずに居座っている。


そう、彼は、変わらない日常、朝の支度、でもちょっぴり特別な日のために、大人っぽい衣装を身にまとったあの時から、私の肩に、服一枚隔てずひそんでいたのだ。

怒りと、悲しみと、やるせなさと。
言い表しようのない感情が、私に襲い掛かる。

周りの人々は、変なものでも見るかのような冷たい目線を私にあびせている。


もう、私に残るものは、何もない。


私は最後の力を振り絞り、近くにあったチラシを手に取り、そっと彼の足元にチラシの角を近づける。決して彼を刺激しないように。


すると彼は、何も知らぬまま、チラシの角に足をのせる。

その彼の一瞬のスキを見逃さなかった私は、チラシを彼ごとゴミ箱に。


捨てるはずだったのに。

なぜか。

できなかった。


あれだけ傷つけられ、あれだけ拒んだのに。
なぜかはわからなかった。


私に残っていた、ほんのわすかな良心だろうか。

フタを少し傾けるだけ。
それですべてが終わる。

でも、できない。

彼はぴくりとも動かず、目線の先のゴミ箱をみつめている。

チラシを持った私の手はゴミ箱をよけた。
そして近くの、人気のない場所で、軽く揺らす。
すると彼は何かを悟ったように、チラシからそっと離れた。

私は、彼がいなくなったチラシだけを、ゴミ箱にふわりと投げ入れる。


お互い、無言の時間がつづく。
彼と、私だけの、2人だけの世界。


その時間は、長くは続かない。


私の良心が叫んだといえど、彼の存在を許すことはできない。
彼を見ると、複雑な感情が同時にこみあげる。


別れの時間(とき)。

私は彼にくるりと背を向けて、何事もなかったかのように歩きだす。

もう、彼と会うことはないだろう。
異国の地で、必死にあがいて生きればいい。


それがあなたの、私に対する、最大の誠意だから。



そして、まもなくして彼は姿を消した。

私の左肩に、すこしとがった、青い香りだけを残して−−−。



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気が付いたらカメムシで文章を書いていました。
なんでこうなったのかはよくわかりませんが、ものすごい頭使ったし、なんかすごい頭の中がカメムシでいっぱいなので、もう今日は寝ます。
お疲れ様でした。