【蓮行流◯◯道場#12「蓮行流劇団経営道場その6」】

蓮行であります。

「蓮行流劇団経営道場」というサブタイトルで5回書いて、その後随分と空いてしまいました。まあ正直言って忙しかったのと、このタイトルのテーマはちょいと重たくて、なかなか忙しい合間では書き切れなかったのです。
とりあえず、この稿で今回のタイトルは、まとめとしたいと思っています。自分でも書き足りないなあとは思いつつも、自分の劇団のサイトの隅っこのコーナーですから、まあ無理になって来たのでとりあえずまとめて、また書きたくなったら書く、くらいのスタンスでええかな、と。

劇団衛星の諸々の活動で、年間で数千万円のお金が動きます。このうち、演劇ワークショップなどの教育系の売り上げが6割、公演関係で3割、その他(テレビ系や講演など)が残り1割といった割合です。

公演関係の比率が低い、と思う方が居るかもしれません。特に演劇関係者だったら、「わたしゃ公演ばっかりして生きていきたいんじゃ!そういう比率だったらプロでやってくのはご免だ!」という人も多いかもしれません。しかし、少なくとも私は、このくらいの比率はなかなか良いと思っています。1〜2年に1本は新作を作り、そのうちの数本に1本が、レパートリー化して再演や全国ツアーにかけられます。現在は全国47都道府県上演を勝手に公約にしている茶道劇「珠光の庵」、観客参加型裁判劇「大陪審」、完全可型劇場公演「劇団衛星のコックピット」などがレパートリーとして全国で再演されています。体力や才能は有限の資源だと思っていますので、公演関係が3割でも、かなり心身にムチ打って(もちろん嫌々やっている訳ではないですが)やっています。

そして、教育系の演劇ワークショップは、それぞれの現場で作品を作るので、私は自分が行っていない現場の作品ですら、「何だったらわしの作品やし」と思っていますし、言ってしまいます。そういった感覚的なものも含め、創作の環境としては、量的には現在の状況がちょうど過不足ないバランスなのです。
また、今手がけている演劇ワークショップのコンテンツとしては、「環境」「防災」「防犯」「食育」などがありますが、医療や福祉、司法などのジャンルからもお誘いをいただいています。これらはまだアイデアやトライアルの域を出ませんが、それらを社会実装していくのは、なかなか困難の多い仕事であり、私に言わせればワークショップコンテンツ作りも重要な「作品づくり」です。私はもう、とにかく演劇と作品づくりにまみれて生きています。

プロとして、様々なお誘いを受けていますと、食えない神話に取り憑かれていた「演劇」も、なかなかどうして社会からの期待や要請というものがあるな、と実感します。そのニーズには、多様な演劇、多様な演劇人が応えるべきであり、その「多様性」が演劇の業界を「厚く雑に」して強度を増すことになり、それによって仕事の成果が質・量ともに上がり、演劇人も潤い、社会にも還元が増える、というのが私の考えです。

正直申し上げて、なかなか気楽で愉快な仕事なので、もっとみんなアルバイトを辞めて、これ一本で行けばいいのになー、と思っています。あんまりお金にはなりませんが、もうお金お金って時代でも無いでしょ?