【蓮行流◯◯道場#10「蓮行流劇団経営道場その4『どうプロになるか』」】

蓮行であります。

今回は、もう少し具体的に「ほんじゃどうプロになるのよ?」という所に踏み込めれば、と思って書いてみます。

「だんだん、お金をいただける仕事を増やしていって、その総計が生活費の水準を超えたら、プロになる」という考え方の演劇人は多いようですが、世の中的には、極めて稀な例だと思います。他のあらゆる職業に於いて、学校の先生も、ボクサーも、ピザ屋さんも、ラーメン屋さんも、一般企業のサラリーマンも、だんだんとプロにはなりません。

サラリーマンであれば、入社したその日からプロです。ラーメン屋さんは、開店当日か、あるいは開店準備の段階から、もうプロと言えるかもしれません。学校の先生は着任1日目、プロボクサーやプロボウラーは、プロとしてのライセンスが発効したその日から、プロと言うことになります。なぜ、そのように「プロ」に突然なるのかというのは、前回に論じた「プロじゃない人には誰も仕事を頼まない」の法則によります。だんだんプロになるには、「プロじゃないのに仕事を頼まれる」という世の中的なレアケースを積み重ねないといけないので、かえって難しいと思います。難しいので、時間がかかり、やがて「30歳定年」を迎えてしまうケースが多いのです。

さて、このシリーズでは、私は「小劇場演劇のプロ」を、「『小劇場演劇に関わりのないアルバイト』を『していない』演劇人」と定義しています。上記の例のような、入社とか着任とかライセンスとか、第三者がある確定条件を出すようなものはありません。ですから、早い話が、バイトを全て辞めて「私は小劇場演劇1本で行きます!」と宣言(決意と言ってもいいですが、決意はすぐうやむやになりますからね…)した時から、プロと言って良いと思います。「何だそのユルさは!?」と言われそうですが、かく言う私が「プロだプロだ」と威張っていつつも、内実はそんなところなのです。

では、そんな「バイトをやめてプロ化を宣言した演劇人」が、どのように生活するのでしょうか?さほど難しいことはなく、以下の3つくらいです。

(1)貯金を切り崩す(2)借金で賄う(3)何も食べなくても太陽エネルギーのみで生きて行けるようなチャクラを開く

言うまでもなく、(1)と(2)は、期間限定のその場しのぎに過ぎません。その貯金や借金が尽きる前に、どのようにして継続的な収入を得るか、というチキンレースになるわけです。しかし、世の中のベンチャーや、ラーメン屋や、いわゆる「大手や役所に務める」以外の仕事というのは、全てこのチキンレースをやっている訳です。世の中のフツーのリスクです。このリスクを取ろうとしないのに「いつかはプロになりたいんっす!」とか浮き世離れした事を言う演劇人は、実はこっそりとチャクラを開く修行をしているのではないか、と私は踏んでいます。

というような、今回は演劇もへったくれもない稿となりました。