黒木陽子の「私はこんな海外ドラマを見てきた」
vol.28 競ってるのは知性と感性

今回もドラマではなく、これです!リアリティ・ショー!



『ル・ポールのドラァグレース』
伝説のドラァグクイーン、ル・ポールが12人のドラァグを集め、1人のドラァグクイーンを決める、サバイバル型のリアリティショー。週ごとに「サイレンス映画」「イメージビデオ」「シットコム収録」といったお題が与えられ、チャレンジしていく挑戦者たち。その中で最も成績が悪かったものが毎回1人が脱落していく。さて。最後にクィーンに選ばれるのは誰なのか!?

最近、シーズン8と9を見ました。

その中でもシーズン8のキム・チーはほんとうに素晴らしい!
韓国系の移民で、もろ我ら東アジア系の男性の角ばった顔立ちで、ぽっちゃりしてるし、リズム感もダンスも苦手。
期待をかける両親にはドラァグしているとは打ち明けられず・・・

もう、ほんと、親近感湧きまくり。

だけど、ビジュアルセンスがすごくいいのです。
メイクも京劇を現代風にしたようなユニークなもので、かっこいいし、衣装もアニメみたい。可愛いとセクシーを程よくミックスしてたり、時にアーティスティックだったりで。

そして、化粧をしてドレスを着て、堂々とした姿でランウェイを歩いている姿を見ていると・・化粧する前の姿も、ほんと素敵に見えてくるのが不思議。セクシーに、いい女に、いい人間に。抱きしめたくなる。

こういう容姿・見た目系のリアリティーショーって、「人は見た目じゃねーだろ!」という気持ちになって凹むか・・・と、思いきや実はそうじゃなくて、どれだけ自分という素材を使って頭と感受性を使えるかに勝敗がかかってるんだなぁと、妙に元気になる。(アメリカズネクストトップモデルもそうだったんだけど、ただ綺麗なだけじゃ大体途中で落とされてる)
あと、自分に自信を持つことがいかに大切か、って思うんよ、見てたら。

ルポールのキメ台詞も本当素敵。
「みんな、忘れないで。自分を愛せずに、他人は愛せない!」



アメリカのキメッキメのリアリティショーなもんで、(イギリスのリアリティ番組は、もっとゆるい)キラキラしすぎな面も否めず、毎回メイクアップの時間に悲しい過去の告白があったりして、「いやいやいや。そんな綺麗に話をまとめるか?メイク中にそんな動揺するような話をわざわざせんでも…」って思ったりもするのですが。

セクシーさってのは、その人の自信・振る舞いから滲み出るものなんだなって勉強になりますよ。
(ちなみに、先の5月公演では大いに参考にさせていただいたことをここで告白しておきます・・・)