黒木陽子「私はこんな海外ドラマを見てきた」
vol.17 アメリカ人にゃかなわねえな。

今回は、これ!



『大草原の小さな家』(アメリカNBC1974-1984 ※まだ第一シーズンしか見てません)

時は開拓時代。先住民から土地を買ったアメリカ政府は、移民たちに開拓したら土地をタダでやろうという政策を打ち出し、それに乗ったインガルス一家(父さん母さん+三姉妹+犬)が実家の森を出て大草原に住む話。実際に大草原の小さな家に住むのはパイロット版となる初回90分スペシャルのみで、その後はまだちょいとは文明のある田舎な村に住む。

懐かしい。懐かしいでしょう!そう、ある年代以上の大人がまだ子どもだったころ、NHKでさんざん夕方やっていまして、これで海外ドラマに触れたという人も多いはず。

あたたかくて頼りになる父さん、やさしくて頭のいいお母さん、美人で勉強のできる長女、おてんばで元気のいい次女、まだ幼児の三女、そして犬…。憧れまくった私はドラマみたいに「父さん、母さん」呼びをマネしたいけど恥ずかしく…アメリカという国ってカッコいいなぁと憧れたもんでした。(まあ、吹き替えなんで実際には翻訳した日本人がカッコよかったんですけどね)

で、改めて見返してみまして。

こ、こんな内容だったとは…。
とにかくですね、一家のバイタリティというか、裸一貫で大草原に放り出された人間のやっつけ感というか、「ああ、こんな人たちにはそりゃあ負けるわ」とそんな感じ。
移住地になかなか辿り着けず、川を幌馬車で渡るときに犬とはぐれるわ、もう大変で、さすがの母さんも「いつになったら目的地に辿りつくの・・・」というモードになってきて、父さんも「くそう!」てな感じで家族から離れてちょっとした丘の上に立ってひとこと。
「見てみろ!ここだ!」

で、広がる大草原・・・本当に、見渡す限りの大草原。
え?ここ、ここでいいんですか?

そして次のカットでは、丸太をビーバーのように生き生きと切り出す父さんと母さん・・・



子どもは子どもらしく、野っ原を駆け回るし、親の言うことを聞いたり聞かなかったりするけれども、基本的には敬意を持って親に接し、親が街へ出てちょっと家を開けようもんなら、「父さんが帰ってきた!」って帰りを走って出迎える。

そう、この作品、アメリカ本国では共和党支持者(保守層)にファンが多いんですって。古き良きアメリカだもんなぁ。
先住民もちょこっと出てくるんですけれど、顔が見える先住民たちは基本、協力的。いやあそんなわけないだろう、とも思うんやけど。

口の不自由な男性や足の悪い女の子が出てくるんだけれど、基本、自分たちでなんとかする。
善意の力よ!
父さんが仕事まだ終わっていないのに肋骨を折ってしまって、今日中に粉を倉庫に積まないと、借金して買った牛が差し押さえられて、農業できなくなっちゃう!!どうしよう!という時は、仲間が立ち上がってくれるのだった。

・・・イマイチ共和党員って海外ドラマじゃ煙たがられてるし、なんで人気あるの?って思っていたのですが。なるほどなあ〜そんな小さな街に政府の福祉なんて届いては来ないので、自分たちのコミュニティで、なんとかするしかないってことなんだな。彼らの頭の中の片隅はこういう世界なんかもしれませんね。

まあ、そういう政治的思想から割と距離を置いて見られるので、我々日本人はラッキーです。
面白いです。