黒木陽子の『あたらしい行事』8月編


8月28日
はにわ祭


いつかは死ぬ自分を祀る日。
お盆で先祖の霊をお見送りした後、時間をかけてはにわを作成し、28日に完成させ屋内に設置する。ひとりにつき毎年一体づつ、はにわがつくられ、自分が埋葬される際に、年齢の数のはにわが一緒にお墓に収められる。
はにわ完成までは、にぼしやひじき、レバー、切り干し大根といった鉄分の豊富な食物を食べ続けなければならないとされる。

<由来>
最大規模の復元古墳《五色塚古墳》がある神戸市垂水区が「何かまちづくりを・・」で、はじめたイベントがきっかけ。粘土業界と水産工場が協賛を開始し、夏休みの自由研究に悩む小学生の親御さんのニーズにも合致し、全国に広がることとなった。『おーい!はに丸』世代がちょうど親となった時期と重なったことも大きい。「鉄分の豊富な食物を食べて血(ヘモグロビン)の生成を助け、生きていることを実感しよう」というのは協賛企業の単なるこじつけであったのだが、夏バテ防止にもいいしね・・と、わりとみんな支持している。
あと、私の誕生日やねん。

<その他>
小学生にとっては夏休みの自由研究の課題の定番となるが、授業時間の再編により8月最終週から秋学期が始まる地域が増え、近年は前倒しして作成されることが多い。
大きなサイズで作ることは縁起が悪いとされる(お墓に収まるサイズ=生きている年数が短いということから)。
子どもの頃に作成した愛らしいもの、中学生の時の微妙なもの、仕事や家庭が忙しくつくれない時期があったり・・と故人の人生をあらわしていたり、毎年無難なサイズ・デザインを作るタイプ、組み合わせると立体パズルになるタイプ、ジェンガのようなもので葬儀に来てくれる人を楽しませようというタイプ・・などなど図らずも故人の性格が滲み出て面白い。