黒木陽子の『あたらしい行事』2月編

2月10日 ピローズデイ(まくらの日)



(ホリデーカラーは夜を表す黒、月の黄色、そして愛を表すピンク)

安眠に感謝し、また家族や隣人の安眠を願う日。まくらやクッションをプレゼントしあい、一年間の快眠を願って、また災禍をよける願いをこめる。日本では義理まくらとしてマシュマロやおかきの入った小袋を渡すようになっている。ただ、バレンタインのチョコレートと違い本命まくらになると多数受け取ることが出来ないため、「誰が誰のまくらを受け取ったか」がひと目でわかる。



○由来
ガーナのウベ・ヌッキオ将軍の第三次中央アフリカ戦争の際の行為を讃えるために始まった。
1958年2月10日、この日は配下の兵士たちの妻の出産予定日が偶然重なることとなり、ヌッキオ将軍は彼らが出生の知らせを安心して受け取れるよう、敵のゲリラ軍に対し、停戦を申し出た。偶然にもゲリラ軍側はお腹を下すタイプの風邪が流行っており、その停戦を受け入れる。それが案外いいぞ、1日でも安心して眠れるのは素晴らしいことだということで、毎年2月10日は停戦することが習わしとなり、アフリカ諸国に広まった。1963年にその行いに対してノーベル平和賞が授与され、受賞をきっかけに国際的な慣習となった。
この日の夜、攻撃をしかけた国、団体、組織は、とにかく悪口を言われまくる。戦争行為に限らずいかなる暴力も禁じられる。犯罪行為もゼロにはならないが「一日くらいゆっくり寝よう」という意識が働くためか、この日は発生率が低い。

○食文化
安眠の日、ということで、伝統的に睡眠によいとされるホットミルクを飲む風習がある。また、玄米も睡眠に良いとされるため、おしゃれな家庭や敬虔な仏教徒はミルク粥を食する場合もある(次の日の朝食べる地域も存在する)。
2月になると、店頭ではホットミルクに溶かすココアや蜂蜜が並ぶ。また、新しいレシピを提案する企画も行われるが、こちらはあまり定着していない。



○その他
「もう毎日まくらの日ってことでいいんじゃないか」と多くの人が願うが、なぜかそうならない。なので、この日はとても貴重な一日なのである。
日本ではどういうわけか「恋人たちの日」としての認識が高い。そのため、子どものいる家庭では性教育のきっかけの日とする場合も多い。



一目で本命か義理かがわかる。