『あなたの知らない三国志の世界』
第二十回「ユニット美人の三国志とはいったい何だったのか11」



 2012年の5月〜11月にかけて半年かけてやったユニット美人の三国志vol.0〜4。

 この連載では、せっかく半年かけて作ったんだからそのままにしておくのはもったいない。という省エネ精神から、作品について語っていこうと思います。自分で自分の作品解説なんて、どうなんだい、それなら芝居にするなよ…というようなことを書いていきますので、そういうのが嫌な人は読まない方が良いがと思います。

 いよいよ最終回です。

その11:教養としての三国志
 さて、三国志、三国志と言っていた二年間がようやく終わりを迎えようとしております。
 連載の始めのほうに書いたかもしれませんが、もともとは「知らないことを知るためには芝居にしてしまえばいいだろう」「今回はふくちゃんの興味のある分野にしてみようぜ(ふくちゃんは歴史好き)」「そうだ、三国志のこと知りたくない?」というような適当な会議からこの企画はスタートしました。
 気付けばふくちゃんもユニット美人を卒業し、事務所の三国志全巻もホコリを被っております。横山三国志の微妙な書き分けを覚える為に手書きで書いた武将カードも捨ててしまいました。
 我々の間に確実に残ったと言えるのは、三国志のざっくりとした知識だけ。

 でも、三国志の知識が残ってよかった。
 そう思っています。

 知識って、考える拠り所なんだなあと二年を三国志三国志と言い続けてとても実感しています。
 例えば、今の日本について考える際に、「今の日本は、三国志でいうとどのあたりなの?」ということを考えることができます。そして、同じ三国志という知識を持つ人と一緒に考えることもできるのです。

 みなさんは、どのあたりだと思いますか?

 ちなみに私は、三国志の大先輩であるYさんとこの話でもりあがりまして、「赤壁前の呉ではないか?」というところで落ち着きました。三国志の知識のある方でしたら「ほうほうなるほど」と思っていただけるのではないかと思います。

(解説)***********
 赤壁=赤壁の戦いのこと。映画『レッドクリフ』の題材。巨大な勢力である魏。その脅威を前に呉の孫権ファミリーは揺れていた。そこへ、魏に追われてへとへとになった劉備チームの孔明がやってきて、いろんな人をそそのかし、穏健派を黙らせて、孫権ファミリーの魯粛をウロウロさせたり、アイドル提督周瑜を憤悶させたり、あの手この手を使って、呉と魏を戦わせるのだった。で、まさかの呉が勝って、劉備チームは魏が弱っている隙に蜀に国を建てることに成功するのだが、その結果三国志は魏・呉・蜀と三国になって、この時代が続くことになるのである。(後半は私の私見です。) 
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 今回、「なぜラストのvol.4ではなくvol.3が90分で本公演なのですか?」と何人かの方から尋ねられて、私もその理由がよくわからなかったのですが、上の話をした後にようやくわかりました。今、私は「なんとなく戦争がはじまるんじゃない?」という不安が大きいからなのです。

 話がずれました。

 今回は、三国志を題材にすることで、Yさんをはじめ、いろんな方と三国志の話をすることができてとてもおもしろかったです。KAIKAの下のコンビニの店長さんも「三国志ファン」ということで、初めてお芝居に足を運んでいただけたことも、嬉しいことでした。
 そして、今後も、きっといろんな人と三国志に絡めていろんな話をできるのか…と思うと楽しみでなりません。政治的な信条の異なる方とも、きっと三国志を通して話せば、ちょっとは話をしている内容を理解できるのではないかと思います。

 そういや、『百人一首を斬る!』をやったときも、「いろんなものとつながれる!!」という悦びがあったなあ・・・。知識・・というか教養ですね、これは。教養ってくだらなくて役に立たなくて、本当に素晴らしい。
 是非みなさんもよろしければ三国志を読んでくださいませ。ひとつの三国志を読んだ方は、是非別の三国志を読んでください。私、今紙本さんに『蒼天航路』を借りて読んでいるのですが、面白いですよ。私の大好きな「陳宮、曹操を牢屋から逃がす」のくだりが無くて愕然としました。「そうかー蒼天航路の作者さんは、そうじゃないんだー」って、それだけでワクワクです。

 そんな感じで私の三国志はまだまだ続くと思いますが・・・(いつか孔明が好きになれる日が来るかもしれない)

 ユニット美人の三国志は、これにて無事終了です。

 最後になりましたが、シリーズ公演をやらせてくださったチームの皆様、観に来てくださったお客様、ぎりぎりスケジュールの中ご迷惑をいっぱいおかけしました出演者・スタッフの皆様、陰ながら応援してくださった皆様、そしてユニット美人メンバーの紙本さん、卒業生のふくちゃん、ありがとうございました。

 終わったよー。