紙の本のススメ第10回「こんな人生羨ましい!!!!と、憧れないのだけれど、でも大好きな益田ミリ」



すーちゃんでお馴染み(三十代女性に絶対的なはず)の益田ミリさん。
基本4コマ形式の漫画で、だいたい見開6ページで終わる短いストーリーなので、ついつい読み進めてしまえる。

「ちょっと休憩」と思って開いたはじめのストーリーに、

「、、、むふふふ、好きだなあ、、、、」

と声が漏れる。
それが益田ミリさんの本だ。


「すーちゃん」を改めて読んでみた。
すーちゃんがまるで私のようだ。と思うところと、私すーちゃんに嫌われるタイプだ。と思うところがあって、うれしかったり傷ついたりしながら、読んだ。

「ごめん。」

と思ったり、

「やったね!」

と思ったり、


一ファンとして言うと、すーちゃんは、最近の本より少しテンポがまったりしている。
思考のテンポとか、「ま、いっか。」の諦めのスピード、その後「いや待てよ。」の展開は、私は最近の益田ミリの方が好きだ。

気がついたら年下になっているすーちゃん!!
「まだ焦ってるんだなあ、すーちゃんは。」とか思いながら、バイト先の先輩のように読んだ。
きもいな、自分。


基本女性目線で描かれる益田ミリさんの本ですが、
男性が主人公の本がこちら
「世界は終わらない」



「すーちゃんの恋」のスピンオフ
すーちゃんが恋に落ちる「本屋の土田さん」が主人公のお話だ。
益田さんには珍しく、男性が主人公なのだ。
しかし、これがまた、どうしたって自分ぽく感じるから不思議だ。

偉そうに言うと、益田さんが「上手くなっている」。
もともと持ってる才能が爆発している。
すげーゆるやかだけど、超興奮しながら読んだよ。
いつまでだって読めるんだよ。

叔父さんとの話のくだりとか最高なんですよ。
男性にも是非手にとって読んでいただきたい。
そして感想を聞きたい!


こちらは、夫婦が主人公の「泣き虫 チエ子さん」



「ふたりで一緒にいられることをとても大事に思っています。」

という文章が最初のページに書かれていて、
それは例えば、旦那さんじゃなくっても、恋人じゃなくっても、犬でも、猫でも、親でも友達でも、仕事仲間でも、関係性が言葉で表せられない人でも、誰でもいいから、そんな風に思える人たちと生きていけたら幸せだなあ。と思った。

こちらも一発目のストーリーで、「あああ〜〜〜」と思う。
なんだろか、この憧れ。
よくよく考えたら、益田ミリに出てくる登場人物は、手が届きそうなのに、今私がもっていない「幸せ」を持っていた。自分よりゆとりがあったりして、ちょっと辛かったりする。

超金持ちのイケメンたちに奪い合われるなんてのは、絶対に起こらない世界なので、憧れたとしても、すぐ忘れられるのだけれど、益田ミリはそうはいかない。

いつか自分もそんな時がやってくるのかな。とか。
っていうか、これっていつかの自分みたい。(でも実際はそんなに素敵な過去はなかった)とか。
そう思うとなんだか残酷だ。

でも、いいねん!そんなことよりも癒されるんだもん!
チエ子さんとサクちゃん(旦那さん)のやりとりに。

将来そんな風に大切な人に接すればいいのかも!とヒントになる。
そんな本です。
なんか、ちょっと切ないなあ。


最後はこちら

「青春ふたり乗り」



手遅れの青春時代の小ネタ集のエッセイ&漫画
「これやってねーな!」というものから「これは、実はやった。」というネタまであるのだけれど、

「ティファニーをもらう」

これは、実は私は体験しているのだ!!!!
でもね、なんかね、そんなにやっぱりいい思い出にはできなかったのが、私のブルマな部分。

もらった時に「、、、え!ティ、ティファニー!?あたながあてくしにですか、、、!?」と思った後に、「やっぱりキラキラしたものをもらうとなんか嬉しいんだな。」と思った。
冷静なもう一人のわたしが、わたしを分析していた。

素直に「わあ!嬉しい!ありがとう!」とあの時言えなかったブル子。
本当に、ごめんよ。あの時のあの人。

わたしのやってない青春の言い訳は、「女子校やったから。」ですから。
結局、女子校でも共学でも、一緒やねんけどな、、、。

経験した青春にも、経験しなかった青春にもいろんな思いがあるのだ。
なんてことを考えさせてくれる。


何歳までわたしはこんな気持ちでいるのかな。
いつか、益田さんの本から遠い距離にいってしまうのかな。
いや、そんなに簡単に人は変わらないかな。

いつまでも、すーちゃんたちと、一緒に年をとっていけたらいいな。と、
今この文章を書きながら、思うのでした。