紙の本のススメ第6回「現代の人々」

俺は、、疲れている。
なんだろう。
気がついたら今年が半年も終わっている。
もう7月
おかしい
時間だけが過ぎていき、なんにも、なーんにも成し遂げられない。
何か行動を起こさなくては。
そうでないと、このまま、このまま、、、。

毎日頑張って疲れるまで仕事して、家に帰って、ごはんを食べて、また朝が来る。
このままでいいのか?
今はいいんだ。今は。楽しいよそれなりに。
でもこの先どうなるんだ。
みんな先のことわかってる?
わからんのに、なんでそんなに楽しそうに生きてるんだよ。ばかじゃねーのか。
あーーあ、死にてーな。
うっそ!死にたくないよ!生きたい、生きたい、逝きたいー!
どっちだよ!!!
なんて悩み、持ったことありませんか?
は?い!そんな時にオススメなのはこちら!

「ヒメアノ?ル」古谷 実(ヤンマガKCスペシャル)



映画にもなったこちらの漫画(え、本じゃない?うるさいよ!紙の漫画本だよ!)
つい先日、プロトテアトルという劇団のFOペレイラ宏一郎くんに借りたこの漫画、文庫版で4巻を1日で読んじゃえるくらいに面白いー!!!

笑いと恐怖のバランスが超絶に絶妙。
登場人物全員に感情移入してしまうこの不思議。
映画「ヒメアノ?ル」もすごかったそうですが(見逃した!)、この漫画すばらしいです。
最終巻の最終話、阪急電車の烏丸駅(私が下車する駅)についた時に、最終ページの最後のセリフを読み終わり、扉が開いての「烏丸?烏丸?」が聞こえた時、私ははっきりと声に出して「これは完璧だ。」と言いました。
大変に超絶好みの漫画に出会ってしまったのです。
これ、買えばよかったなあ。
買おうかなあ。
ペレイラくんありがとう。
古谷実先生 本当にありがとうございます。

ふう。漫画読んだら落ち着いたぜ。
ああ、そうだ。
家に帰ったら、要介護のじーさんがいる。
他人事じゃない。このまま時間が過ぎたら、50年後、自分だってああなるんだ。くそ。
あんなふうになりたくない。体が動かなくなって、されるがまま。
クソまみれのションベンまみれ。
自分の死に場も選べない。そんなふうになりたくない。
だが、いま、まだ、俺は若い!
そうだ。俺は今若い。今が一番若い。
やった、やったあ!!!
あははは、あっはっはっはっは!

よ?し、そんな疲れマックスで酷いことしか考えられないあーなーたーにー!
「スクラップ・アンド・ビルド」羽田圭介 (文藝春秋)



第153回芥川賞受賞の本作。
主人公の心理状況が丁寧に表現されている、間違いなく主人公は一人!な、ひっさしぶりにシンプルな小説だった。
何も起こってないのに、何が起こっているの!?どうなっちゃうの!となんか知らんけどドキドキさせてくる。

主人公の小ささ。
ああ、この年齢の男性(羽田さん)ってこんなんなのか!
そうだったのか、全然わからんかったぜ!

お母さんの言葉の酷さ。
あんなふうになっちまうのかい?あんなふうになりたくないよ。でもああなっちまうのかい・・。

おじいさんへの苛立ち。
「すんません」という言葉がほんまにみすぼらしくって苛立たしい。
これは、いかん。私でも無理。と思わせるあの言葉の持ってきかた。
ああ、これが、芥川賞か!

「お母さんは、どんな気持ちでこの言葉を言ったと思いますか?」
という、国語のテストに出てきそうな(褒めています)、丁寧な文章とおもいきや、
読み手のそれぞれの日常によって見える世界が違ってくる。とでも言いましょうか。
また何年か後に読んでみたい。そんな本でした。

私には生きる指針がないのだそもそも。
目標もないし、希望もない。
つい先日、「お前、宗教の勧誘とか気をつけろよ。顔死んでるぞ。」と友達に言われた。

顔死んでるのか。
信仰心が薄い患者と信仰心の厚い患者に比べてうつ病の治療効果が2倍以上低い。とネットでみたことがあるぞ。
いいじゃん、元気になるなら宗教にでもはいれば。
まあ、めんどくさいから、はいんないけど。
クリスマスもお正月も祝ってるしさ。
一応なんか、信仰心とかあるとおもんだけどな。はは。

そーんな乾いた心にオススメなのはこちらー!
「教団X」中村文則(集英社)



オススメしておいてなんですが、とりえず紙の本としては、ごつい!
576Pもあるので、重たいです。(私は持ち運びましたけれど)

話の内容は、エロい!怖い!面白い!のですが、話が長い!というのがもう一つのびっくりポイント。
ストーリーが長いのではないのです、出てくる登場人物の特に教祖の話が長い長い。
あれ、これなんの本だったかな。って何度思ったか。
ごめんなさい!私は教祖様のお話、後半2割くらいすっ飛ばしてしまいました。
それでも大丈夫!話はついていけます!

そんな感じで、「長すぎて意味がわからないかった。」やら「長すぎてあまり面白くなかった」という感想もいくつか聞いたのですが、
読み終わった後の達成感たるや。

ストーリーや登場人物の心理状態などは読みやすく、わかりやすくって面白いのです。
ただ、教祖さまのお話がなあ。なげーよ。なんで?と思わせるこの教祖の話。
これはきっと中村さんがそれでもこだわった部分なのだ。
読者への挑戦なのだこれは!(それっぽいことを言ってみた!)
中村教祖 による宗教団体Xの話。
終わった後にそんな不気味さを感じました。