紙の本のススメ番外編

劇団しようよ『こっちを向いて、みどり』客演記念・特別企画!
「大原に本をオススメしよう」トーク大会

大原くんが影響をうけている作品って?をお題に、ワークショップの道中、みんなでおしゃべりをしました。
ゲストにファックジャパンさん、黒木陽子さん、柴田惇朗さん(TUSK)をお迎えしました!
本をオススメしようと思ったのですが、話は縦横斜めに広がっていきました。

・・・・・・・・・・・・・・・

紙本:
まず、大原くんが影響を受けているアーティストとか本とか作品はありますか?

大原:
僕、あんまりほとんど本読まないんですよ。うーん、自分の作品づくりの原体験として、「お父さんに『ゴジラ』(発音変)を観に連れて行ってもらった。」というのがあって・・。

紙本:
お父さんとゴジラ・・。

大原:
小さい頃はあまりお父さんが好きじゃなくて、ゴジラも興味がなくって。ただ、それを観に行ったことが強烈で。「お父さん=ゴジラ」という結びつきがあるんですよ。

F:
ゴジラじゃなくてゴジラ(発音変)なんや

紙本:
確かに。

大原:
ゴジラ(発音変)ですね。

柴田:
発音おかしいですね。

F:
ゴジラやで。

大原:
いや、ゴジラ(発音変)ですね。

F:
エエ!でも映画やったらゴジラになるやろ?

大原:
えー、ゴジラ・・。あ、ですね。単発やとゴジラ(変)

柴田:
でも、英語やとゴジラ(変)の方が正しい発音かもしれませんね。

大原:
改めて言われると、そうですね、発音おかしいですね。

黒木:
お父さんと行ったゴジラは、何やったんですか?

大原:
一番最初に行ったゴジラは、『ゴジラ(発音変)対メカゴジラ』

F:
メカゴジラは普通の発音なんやね。

大原:
田舎に住んでいたので、隣町まで行ったような記憶がありますね。この、「怪獣と対峙する」というのが、劇団しようよでは何度も出てきてるんですよ。

紙本:
ほんとや。

大原:
絶対勝てない相手=ゴジラ(発音変)というのがあるなあ・・と。ゴジラ(発音変)が好きだと気がついたのは、この5年くらいなんですけど。それまではガメラの方が好きやったんですけど。

F:
でかい敵に対して、あまり嫌悪感を抱いてないの?

大原:
嫌悪感というか、もう「従うしかない」「やりすごそう」みたいな考えでいるなあ・・と思うんです。それは、僕の根本にある気がしますね。喧嘩もしないし、言い争いもしないし。反対意見を言われたら受け入れてしまって、関わるのをやめるというところがありますね。なので、「怪獣」は、僕の創作の中で、でかい存在ですね。

紙本:
そうか・・。

大原:
あんまり本に影響されているとかが無いんですよね。小さい頃から、漫画を描くのが好きで、自分でストーリーを作るのが好きで。誰かのストーリーにどっぷり浸かるのが苦手だったんです。

黒木:
ゲームは?

大原:
ゲームも、中学でやめましたね。

黒木:
ドラクエにはまっていた、とかもないの?

大原:
FFはやってましたけど、そんなに熱狂的にはまってもいなくって。

F:
週刊まんがを買っていたとか?

大原:
ジャンプは買ってましたね。・・あ、『ワンピース』は好きですね。

F:
何年間くらい買ってたの?

大原:
高校の2年間くらいですかね。そんなもんですね。ああ・・、誰かが作った世界にどっぷりつかれる人間になりたかったなあ・・。

黒木:
演劇はどうなの?大原くん、めっちゃ観てるやん。

大原:
演劇は、そうですね。勝手に入ってくるじゃないですか、自分から読むとかしなくても。読むのが苦手なんですかね。

F:
音楽も勝手に入ってくるやん。音楽は?

大原:
音楽も、この音楽でどんなセリフが言いたいか・・とか、どのタイミングでかけたいか・・とか考えてしか聞けないんですよ。

F:
ええ!!じゃあ、自分の想像力を掻き立てられるかどうかなんや。

大原:
そうですね。YouTubeも好きなんですけど。この先こんなシーンあったらいいな・・とか、そんな感じで見たり聞いたりしてますね。なんか、自分がつまらない人間だなと思いますね、最近。

F:
もっとカルチャーに熱狂したかった?

大原:
したかったですね。全てを自分の創作に取り込もうと、小学生の頃から思ってたから。

柴田:
筋金入りのクリエイターですね。

大原:
ね、それが、今、おもしろくない人間につながってるなと思う。

柴田:
そこまでは言ってない・・。

大原:
オタクに憧れますね。さっきも、みんなが好きな本の話してる時に、好きな物語があるって羨ましいなあ・・って、悔しかったです。

F:
好きなストーリーがないの?

大原:
うーん、教科書に載ってる『スーホの白い馬』とか『スイミー』とか。それくらいのレベルですね。

F:
出会ってないだけやで。

大原:
そうなんすかね。

紙本:
じゃあ、ファックさんが大原くんにオススメする作品!みたいなものありますか?

F:
うーん、あれや!『ノーカントリー』(映画)やわ。

柴田:
いいですね!

大原:
何年か前のアカデミー賞ですよね?

F:
あれは、圧倒的な殺し屋がいて、会う人会う人死んでいくやつ。(雑な説明)

柴田:
最近、『アダプテーション』を観たんですけど、あれ、大原さんみたいな人が主人公でした。

大原:
え?どういうこと?

柴田:
『マルコビッチの穴』の作家が主人公の話で、その人自身が脚本も書いてるんですけど。フィクションに入り込めない人の、フィクション映画みたいな。そんな感じでした。

黒木:
トムクルーズの『宇宙戦争』。

大原:
あれ。僕、ダメでした。

黒木:
ええ!

大原:
何が面白いかわかんなかったです。今観たら違うかと思うんですけど。

黒木:
そうかーー。

大原:
さっきファックさんが話していた、「中高の間、女性としゃべったん、食堂のおばちゃんとお母さんだけやった」って聞いて、うるっとしました。

F:
なんで!?

大原:
なんか、ファックさんのお母さんには、いつまでも元気でいてほしいなって。

F:
ええ?!どういうこと笑

大原:
いや、なんか、そういう「親子間」が好きなんですよ。

F:
じゃあ、下村湖人の『次郎物語』やわ。遠い記憶やけど、めちゃくちゃ面白かった記憶しかない。

紙本:
『西の魔女が死んだ』は?

大原:
観てないですね。

紙本:
小説で号泣ですよ。

黒木:
あれは泣くね。

大原:
漫画ですけど、『自虐の詩』は好きですね。

黒木:
漫画なら、森下裕美の『大阪ハムレット』がオススメやな。家族ものやで。短編集で読みやすい。

F:
あれはいいですね!映画にもなってるし。

大原:
なるほど。でもなんやろう。好きな作品かあ・・。演劇ですけど、タイミングが合う作品、「今のこの世界にこの作品か!」っていうものがあると、めちゃくちゃ感動しますね。この間、東京で観た木ノ下歌舞伎は、めちゃくちゃ良かったです。お母さんにお金借りて新幹線乗って観に行ったんですけど。

F:
もう、大原くんは、演劇を観といたらいいんちゃうかな。

大原:
そうですね笑

F:
そこまでの人、あんまりいないよ。

大原:
そうですかね?。観てる時に今、何を考えているか・・とか、世界は今どうなっているか・・っていう時間の流れが限られてあるものが好きなんですね。

柴田:
『ズートピア』(ピクサー映画)は観ました?

大原:
観てない。みんな良いって言うね。

柴田:
それこそ、今の時代にある作品って感じです。昔ディズニーが、ある意味偏見を抱いていた動物、例えば狐はずる賢いっていう構築したイメージを、今度ズートピアで脱構築する、みたいな。

大原:
いい。そういうの良いなあ。いいなあ!

F:
大原くん、『サニー』(韓流映画)は?観た?

大原:
いえ。

紙本:
ファックさん、『サニー』、ハードル上げすぎやから。

F:
紙本さんはあんまりでした?

紙本:
いや、良かったですけど、あまりにも良い!とファックさんから聞いていたからハードルあがってしまってましたね。

F:
でも紙本さん、1回しか観てないでしょ?

紙本:
はい。

F:
2回観てください。2回目やから、あれ。あ、また会えた!ってなりますから。

紙本:
わかりました。

F:
僕は今週は、『恋愛100キロ』を観ます。

大原:
ああ、行くんですか。いいなあ・・。

F:
大原くん、TEAM NACSは観たことある?

大原:
ないですね。

F:
僕もないねんやんか。で、レンタルDVDを借りたんやんか。

大原:
はいはい。

F:
一緒に観ーひん?

大原:
あはははっ。じゃあ観ましょう!

紙本:
KAIKAのキッチンで、じゃあ。

大原:
なんか、話してたら、自分の中に何もなさすぎて、苦しくなってきますね。

紙本:
でも、何かを求めようともしてないんやんね。

大原:
そうですね。多分思ってないんです。思ってないから動かないです。

紙本:
そういえば、大原くんは演劇以外に、これにはまってる とかあんまり聞かないな。

F:
なんか、建築とか美術館が好きとかそういうのも無い?

大原:
無いんすよ。そういう自分が嫌い!

黒木:
絵を描いてるやん。チラシ作ってるし。

大原:
ああ、チラシ作るのは好きですね。

F:
でもチラシ画集を観たりとかそういう時間を過ごしたりはしない?

大原:
しないですね。・・あ、でも、チラシつくりの原体験としては、コンビニでバイトしてた時に、いろんなお菓子とかのパッケージをみて、この味はこの色なのか!とか、この違いでこれを表現するのか!とか、見るのは好きでした。

紙本:
間取りとはか?めっちゃ興奮するで。

大原:
しないっすねー。

F:
俺するなあ。

紙本:
ねえ。お金もかからないしいいよ。

黒木:
知識は? 何も役に立たないけれど、これがラワン材でこれが天然か!とか。

柴田:
面白いですね。

大原:
なんか、知識と自分が繋がった時に、貪るように知りたいと思ったりするんですけど、関係を見出せなかった時には何にも頭に入ってこないんですよ。

F:
消費ができないんかな。

大原:
ああ、そうかもです!

黒木:
消費していいねんで。

紙本:
いいねんで。

大原:
ああ、なんか、涙出てきそう。

F:
あっはははは!

黒木:
佐々木倫子が、漫画の中で、「生物や植物は太陽の光を浴びて生きる。消費は神様から祝福された行為なのよ! 」みたいなことを書いてて、そうか!って思ったよ。

紙本:
良いこと言う!

大原:
ありがとうございます。なんか、そうかー!

紙本:
じゃあ、今度は、KAIKAでTEAM NACSを観る会で!
ありがとうございました!

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根っからのクリエイターで今いろいろ悩み多き青年、大原渉平氏の作品『こっちを向いて、みどり』が、6月24日、ロームシアター京都で初日を迎えます!
大原くんの原体験がどんな風に描かれているのか。
めっちゃ気合の入った作品なので、ぜひ皆様、観に来てください。

公演情報 >http://www.gkd-444.com/next/