出会いについて

紙本でございます。

妄想が止まらない中、妄想劇場の続きを…と思いましたのですが、今回は「出会い」について少しお伝えしたいと思います。

私が劇団に入団してすぐのころ、当時劇団衛星の、いや、京都の最モテ俳優と言っても過言ではない、
すばらしい先輩、チャック・O・ディーンさんが

「紙本さん、出会いなんてそこらへんに転がりまくってるんだよ。例えば横断歩道ですれ違うとか。」
とおっしゃったのを鮮明に覚えております。

「ああ、チャックさんは、誰とでも出会い、なんかしらの関係を築き、だからこんなにモテるのだな…!」

と感動した事は言うまでもありません。

それから10年、私は、なるべく「楽しく」「仲良く」ときには「厳しく」上っ面ではなく、深く人と関係を築いていきたいと願うようになりました。
「愛情の反対は無関心」。
無関心になるのだけは避けなければならない。と努めて参りました。

そうやって態度形成を確立した私ですが、過去10年間をふりかえると、
「楽しく」「仲良く」誰とでもコミュニケーションを取ることは、必ずしも「つき合う」や「結婚」との直接的な因果関係があるとは言えない。
という結論に至りました。
「だからこんなにモテるのだな…!」という若かりし頃の私の仮説は、立証できなかったのです。残念です。

さて、ただ、何も「つき合う」や「結婚」がゴールという訳ではありません。
日々、人と関係を構築することは大切だということに変わりはありません。
それは異性でも同性でも、子どもでもお年寄りでも、好きな人でも、嫌いな人でも、ネットのオンラインゲームや、出会い系、言葉の通じない人でも、詐欺師でも。
そう詐欺師でもです。
人を騙してお金儲けをしようとする詐欺師でも、私は積極的に関係を構築していくことで、何かその人にとって、良い時間になればと願うのです。

わたしく先日、舞台の先輩、KBYさんから、はじめてLINEでメッセージを頂きました。
もう5年ほど連絡をとっていないし、そもそもLINEもいつの間にかお友達に入っていただけのKBYさんからメッセージを頂きましたもので、大変嬉しかったのです。
ところがKBYさんは困ったご様子で、そして一方的に

" 近くのコンビニエンスストアでiTunesのプリペイドカードを買うのを手伝ってもらえますか?”

と送ってこられました。

「む!!KBYさん!どうしたのだろう、あんなに紳士なKBYさんが!」

と心配になりまして、

”あら、どうしました?”

とお返事をいたしまいた。

そうすると
KBYさんは私の質問に答える余裕も無いほど焦ったご様子で、

”今すぐ買ってもらえますか?急用なんですが…”

とのこと。

そうか、KBYさんは音響さんだし、iTunesで何か音でも買うのかもしれない。
しかし私は、仕事で和歌山におりましたので、

”今和歌山やので、すぐに渡せないかもしれません。”

とお伝えいたしました。
いや、、、ちょっと待って下さい、、KBYさんは東京にお住まいなのです。
わたしくここで、ピンときました。

「おかしい。」

東京にお住まいのKBYさんがなぜ私に?
そして、音響さんがそんな手間のかかることをする訳がないのです。
さらにKBYさんはお金持ちなので、関西に住む私でなくても近くにお金持ちのお友達が沢山いらっしゃるはず。

これはおそらくLINEの乗っ取りなのです!
成人になって15年、これくらいの違和感は分かります。
ただ、ここでコミュニケーションを断絶してはいけません。

「紙本さん、出会いなんてそこらへんに転がりまくってるんだよ。例えば振込詐欺とか。」

10年前のチャックさんが伝えたかったことがこういうことなのかと思ったのです。

「チャックさん!」

ここから、私と偽KBYさんとのやりとりが始まりました。

写真1

もう少しこの方とやりとりをしたい。と思った私は、なんとか気を引き止めようと必死でした。
カードを買ったところで、渡す方法は?

写真2

大変具体的な指示をしてくださいます。

写真3

手持ちは最大でも2万円でしたので、正直にお伝えいたしました。

写真4

大変傲慢な方です。

写真5

写真6

ふー、よかった、怒られなかったし会話をつづけてくださいました。
しかし、買う訳にはいきません。
詐欺ですから、買ってしまうと、偽KBYさんの為になりません。
心を鬼にして、私は嘘をつきました。

写真7

大変急いでいるご様子。
私は思いきって、とっておきのお気に入り写真を送ってみたのです。

写真8

拡大すると・・ 写真11

偽KBYさんはどんな風にお返事をくださいるのか…。

写真9

そうすると偽KBYさんからは、とってもかわいらしいスタンプが。
なんとも素直な方です。
大変驚かれました。

そして、

写真10

とメッセージを送ってくださったのを最後に、偽KBYさんは退出されました。
爆笑していただけて嬉しゅうございました。
偽KBYさんが、これを機に、お金を騙してもうかるより、世の中には楽しい事があるかも。と思ってもらえたらこれ幸いですが、それは私の知る所ではありません。


振り込め詐欺や乗っ取りなど、「騙されないようにしましょう!」と伝えていくのは大切なことだと思う。
本当に、誰も騙されて欲しくないものです。
ただ、そんな弱気では悔しいのです。

「逆にこいつを騙してやれ!」というような意気込み、
「相手をふりましてやりたい!(良い意味で)」というくらいの方が、
陰湿な詐欺が減り、騙されて傷つく人が減り、お金のために人を騙すかわいそうな若者が減り、もう少しだけ幸せな世の中になるのかもしれないと、いい加減な私は思い、願うのでした。

おわり