妄想劇場2014「風当たり、宵の葉擦れ。へのオマージュ篇」

《人はなぜ他人(ひと)を愛するのか。》
「生物学的に考えると、「繁殖」の為というのが合点がいきそうだ。では、同性愛はどういう風に説明すればいいのか。
一緒にいても、単純な性行為をしても、妊娠には至らない。
好きという「気持ち」や、愛しているという「感情」は、性的な要求から発生する便利な感情じゃない?
じゃあ、どこからくるのか?
体のどこがそれを感じて、心臓が痛くなったり、指の先がそわそわしたりするのか。
そして、この気持ちはいつまで続くのか。
人は他人を愛し続けることができるのか。

そんな事、私は奇跡だと思う。
そして世の中は奇跡で溢れている。
今はそう思う。」


部屋の荷物を片付けながら、昔自分が書いた恥ずかしい詞が出て来た。
11年前のことを思い出す。
「彼を好きなこの気持ちが消えることなんて、ない!」って本気で思ってた18歳の私。
「好きに理由なんて無いんだな。」とか、平気で言いまくってた。


「子どもが出来たみたいで…。本当にごめん。」

「おお…、なるほど。了解。」


こんなやりとりだったと思う。
8時間前のことやのに、はっきり覚えてない。
ただ、私は、彼のその一言で、意味・内容をはっきり理解して、了承をしたのね。
11年間の出来事を「了解」の一言で終わらせてしまった私。

セックスだって、もう1年くらいしてなかった。私は。
了解するのに、時間は十分だった。
やっぱり、「好き」の感情は、性的な欲求に大きく起因するみたいだよ、18歳の私よ。


8時間くらいコンビニに行ってる彼に、「今日中に、荷物持って出て行くね。」とメールだけ送った。
返事は、無い。けど、既読マークがついてるから、見てるよね。

下着類と、3日分くらいの服と、PC、お化粧セットなど、小旅行のような旅支度。
行き先だけが決まってないけど。
歯ブラシを分かりやすくゴミ箱に捨てて、玄関を出る。

実家に帰るのも、なあ。
とりあえず賃貸屋…
「今すぐ!?何があったんですか?」
とか聞かれたら殴ってしまいそうだしな。

とりあえず、=2、3日泊めて。=と友達にメールをする。

=今、本番中。観に来てくれるなら、泊めてあげても良し。何があったかは、お芝居の感想を聞かせてくれたら聞いてやる=

大学時代からの友人。
今でも芝居をやっている。
演劇が好き。ってただそれだけで、11年間芝居をしている彼女はとてもシンプルだ。
「好き」がいつか無くなるのか。なんて、そんな事考えてないんだろう。

壱坪シアタースワン
「風当たり、宵の葉擦れ。」
時代遅れの扇風機職人 二代目扇屋鈴太郎、業の記録。

扇風機職人?笑。
今の私の心理状態と全く関係の無いこの芝居。
まあ、いいか。
世の中は、私に関係なく回ってるってことだな。
扇風機だけに。


会場に向かう道中、私は考える。
「人が他人を愛し続けることができるのか。」
11年前に問いを立てた自分へ。
29歳の私は、
「愛し続けることは出来ないよ。」

と、言えない。
形は変わっても、心臓がドキドキしなくっても、指の先も、足の先もそわそわしないけれど、まだ奇跡が続いてる。
今はそう思う。

おわり。



さて、今週末は、坂口修一と日替わり女房「風当たり、宵の葉擦れ。」の本番です。
私が演じる日替わり女房の、主人にたいする「愛」の形の変容を思いながら書いていたつもりだった妄想劇場ですが、
なんか気持ち悪いことになってしまった。
吹っ切れない29歳の女の話になってしまいましたが、
なんとなく、坂口さん演じる主人公ともリンクするようなしないような、多分してない。ごめんなさい横山さん。
こんなんじゃないです、もっともっと面白いお芝居です!


坂口修一と日替わり女房
「風当たり、宵の葉擦れ。」
http://blog.livedoor.jp/sakaguchi1975/archives/4069304.html

日時:2014年7月26日(土)〜27日(日)  
7月26日(土)15:00(完売)/19:00
  27日(日)17:00
会場:壱坪シアタースワン
京都市下京区堺町鍵屋町通室町西入
京都市営地下鉄烏丸線「五条駅」下車、8番出口から西へ30m
地図

料金:予約2000円/当日2500円