「勘違いからの始まる旅」

思い込みや勘違いが失敗や人間関係のこじれ、問題、事件へとつながる。
ロミオとジュリエットなんて、勘違いから主人公が死んでしまう。という大変な話だ。
人間の永遠のテーマ「勘違い」

レンタカーを借りるために段取りをしていたのに「**レンタカー 京都店」という表記だけを見て、京都駅のすぐ近くなんだ。と、なぜかどこかのタイミングで思い込み、予約したものの、いざお店に借りに行こうという段で調べてみると、上鳥羽あたりのお店だった。
なんて事もあったりなかったり。


劇団衛星が温泉街で公演?
へー!面白そうだ!観に行きたい!!
さっそくネット検索だ。
「温泉」、「演劇」 っと、ぽち(スマホでネット検索)

"5月27日〜28日 杖立温泉祭 演劇公演は19時スタート!"

これだ!
もうすぐやん!

現在地〜杖立温泉をGoogleマップで検索…
5時間30分。
間に合う!

ということで、さっそく旅の準備をして、新幹線に飛び乗った。
新幹線で3時間、その後博多でレンタカーを借りて2時間。
山道をずんずん進んでいくと突如現れた温泉街、「杖立温泉」に着いた!

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本当に秘境の地といった雰囲気だ。
そして全然人とすれ違わない。
本当に今日、公演はあるのだろうか…。

写真2

まだ時間もあるし、せっかくなので、街をぷらぷらしてみよう!
山沿いに連なる温泉宿。
昭和初期の杖立の地図そのままだ。

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やはり温泉街に来たからには、はいっておかねばならない「足湯」

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そして、足湯の近くにあった温泉街によくある小さい神社で、とりあえず「みんなが幸せになれますように。」という大変曖昧な願い事をした。

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昭和を思い起こさせる小さな路地が沢山。

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奈良の田舎で育った私。
路地裏は学校帰りのお楽しみコースだった。
通ったことのない裏路地を発見した時のときめき、そしてその道が一体何処につながっているのか…とドキドキしながら進んでいくあの興奮を思い出す。


これぞ温泉街!蒸し場!

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なんで卵をもってこなかったのだろうか…。
何も蒸すものが無く、とりあえず顔に湯気を浴びる。

最近手作りした感満載の恋地蔵尊

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1分後に、お賽銭を入れて、お線香を立てて手を合わせる自分がいた。

そうこうしている内に日が暮れて…、なんだか人だかりが。
あ、あれは…!

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舞台に集る人!なんという素敵な情景だろうか。
興奮してきた。

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もうすぐ始まるようだ。
いつもと違う雰囲気だ。ドキドキする。

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はじまった!
うん、演劇祭りだから、いろんな劇団さんが出るようだ。
杖立温泉の旦那集による時代喜劇「権三と助十」

素人さんとは思えない、面白さ。
今年で49回目を迎えるそうだ。
番頭役を演じる郵便局員長さんなんて、もうどこかの旅芸人のような貫禄。
平均年齢も若干高めの会場内、お客さんのエンジンを少しつづ上がってくるのが分かる。

前狂言の後は、子どもたちによる演舞。

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こどもが可愛すぎて、やんややんやの大盛り上がり。
あんな客席からの笑い声は久しぶりに聞いた。

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演舞の後は、切狂言「浮名の渡り鳥」
人情芝居だ。
客席からも「かっこいい!」という声が飛び交う。
舞台も客席も、勿論私も最高潮だ。

写真17

不幸な勘違いから、浮名の渡り鳥となってしまった新三の悲しい物語全四幕が無事終了。
本日の演目は終演。
素晴らしい公演だった。
終演…。
あれ?劇団衛星は…???

「あのーすみません、今日は劇団衛星さんは出ないんですか?」

スタッフ「劇団衛星?なんですかそれ?」

「あれ?温泉で公演があるって聞いたのでてっきり…」

スタッフ「杖立温泉では、毎年5月27日、28日に温泉祭りをやっててね、今年で49回目だよ。来年は50周年だからまた来てよ!」

「あ、はい…。」

「劇団衛星」 「温泉」 「演劇」っと、ぽち(スマホでネット検索)

"珠光の庵 城崎公演決定!"

は…!!!!
城崎温泉だった!!!!
なんというひどい勘違いだ!!

とはいえ、勘違いからこんなところまで来てしまったけれど、杖立温泉祭り、すばらしいじゃないの。
小さな街だけれど、街の人がほぼ総出でここに集って、舞台を楽しんでいる。

近くに座っているおばさんに話しをきけば、小国町(車で20分くらい)から年3回程は遊びにくる。という。
蒸場で出会ったおじさんに話を聞けば、もう20年くらいお芝居を観に2時間かけて熊本から毎年来ている。という。

「素人芝居やけどね、面白いっちゃ!」

私がいつも都会で観ている小劇場や商業演劇と、この秘境で行われる伝承演劇。
楽しみ方の奥深さと、舞台の存在感の違いをどしりと感じた1日だった。
こんな存在感でいたい。とすごく曖昧だけれど、そんな風に感じた。
ありがとう杖立。
来年は社員旅行で行きたいなあ。


さて、城崎にいくか…!