「おばちゃんとの出会い」

月一の更新なので、そりゃそうなんですが、5月、もう5月ですよ。
Twitterでは、月のかわる前に、
「もう5月だなんて…!」だったり、
「これで今年も半分にさしかかってしまった。。。」だったり、
「5月は俺がくいとめる!」なんて言葉が飛び交いますね。
私はそのつぶやきを見る度に、なんだか毎度ありがたいなあ。と思うのです。自分より、もっと焦ってる人を見ると、ちょっとほっとする。

先日、あと一歩のところで、バスに乗り遅れ、「もう!なんでよ!」と私が悔しがっていると、後ろから歩いて来たおばちゃんに声をかけられた。

「私も乗り遅れて悔しかったんやけど、あんたみてたら、悔しさどっか行ったわ。おおきに。」

それから、次のバスが来るまでの間、おばちゃんは色んな事を話してくれた。

「自分が体調悪いとき、自分よりしんどそうな人を見るとなんとなく、納得がいかなかったりせーへんか?
こないだ、インフルエンザにかかったんよ。ひーひー言いながら、やっとこさ病院いったんよ。ほんだら、他にもしんどそうな人がいっぱいてな、なんや残念な気持ちになってなあ。
私が今一番しんどいんや!って演じてみたくなるあれは一体なんなんやろうなあ。自分より、しんどそうな人を見ると、残念に思う。あれは一体なんなんやろうなあ、ねえちゃん。」


「その気持ち分かりますよ。人と比べて私の方が!って思ってしまうんですよね。
私ね、ダイエットをしている。と友人に聞かされて、”え!なんで〜?!ちゃんと食べないと不健康やで!”と言ってしまう時とかあります。自分より、キレイになる友人をみて、相対的に自分が不細工になってしまうって思うっていうか。」

おばちゃん
「あー、おばちゃんもあるある。おばちゃんね、健康の事考えて、最近ランニングはじめたんよ。それ友達にゆーたら、「ランニングはしんどくてつづかへんよ、ウォーキングにしとき。」って言われて、人がせっかくやる気になってるのになんなんよー!って思たわ。
自分よりがんばってる人を見ると、なんかとめたくなるあの気持ちはなんなんやろねえ。」


「そうですね〜。でもその友達のアドバイスも結構的確やとも思いますよ。」

おばちゃん
「ちゃうねん!その人いっつもそうやねん。すぐに、やめときーって言いはるんよ。」


「ランニングは続いてるんですか?」

おばちゃん
「続けてるよ!その人にそういわれたから、悔しくて続けてるわ。おかげで足いたくってねえ。それで今から病院行くところ。あははは。」


「あ、私ね、面接やオーディションで、"おはようございまーす!!!!!"とすんごい前向きに挨拶する人が居ると、ひいてしまうんですよ。私は私だ!とか、私はガツガツしないんだから!とか良く分からない「自分らしさ」を取り繕おうとしてしまうっていうか。自分より、ガツガツした人を見ると、ひいてしまう。」

おばちゃん
「それもすごい分かるなあ。私も昔、好きな人がいたんよ。でも、私よりもめちゃくちゃアピールする子がいてね。私は、そこで、私も好きや!って言えんかった。結局その人はその子と結婚してね。その時は、これが運命やったんやって必死で考えたなあ。」


「悔しいですねえ。」

おばやん
「そやろ。「負け」やったんやなあと思ったんよ。」


「負け…?」

おばちゃん
「自分よりも…とか思った瞬間、負けや。その後諦めたらもっと負け。
今の瞬間を生きてたら、負けは無いんよ。相手とくらべることじゃないんよ。自分の気持ちは自分でええやんかと思うんよ。試合に勝って勝負に負けるんよ。だから私は足が痛いと。」


「はあ…。」

最後は、なんだか良く分からないおばちゃんの人生の負けたらあかん。という話になって、そうこう言ってる所にバスが来る。
「このバスじゃないから。」と言って、おばちゃんとはそこでお別れ。バスの中から、ぺこりと挨拶をすると。おばちゃんは親指をたてて、「グッドラック!」と叫んでくれた。

おしまい