おしゃれ雑誌編集部!〜演劇人スタイル〜 番外編「時の流れに身をまかせ」

10年前を思い出す。
10年前、今9歳のあの子は、まだ生まれてさえいない。
お母さんのお腹の中にもいなかった。
10年という月日は、生まれて、変化して、発明されて、文化になって、思い出になるのに十分な時間だ。

私はこの10年で、何をやってきて、何を生んで(創って)、何を発信して、誰を助け、誰に助けられ、誰と出会って、別れてきただろうか。
振り返ると、色々沢山やってきたなあ。と思うけれど、全く想像も予想もしてない事ばかり。
こんなんでよくここまでやってきたなあ。(やってこれたなあ。)と、ちょっと反省したり、沢山感謝したりしています。

2004年にどんな事が起こっていたのかとちょっと、ウィキペディアで調べてみた。

・小泉首相が靖国に参拝。
もう10年も前なのか!!
大学を出て1年。
劇団に入って3年目。
なんとなく「演劇」を続ける事を選んだあの頃。
世の中の事にまで、気を配ってる(関心を持つ)余裕がなかったなあ。
でも、これは覚えている。戦争の歴史(こんな形の傷や、ずっと終わらない問題)があるのだと意識したのだった。

・ヨン様フィーバー
え〜、もうこれも10年前なんやなあ。
うちの母親もおもいっきり、「冬のソナタ」にはまっていまして、そして未だに韓流ドラマが大好きなのです。
ということは、今の小学生はヨン様なんて知らないだな。

・窪塚洋介、9Fから飛び降りるも奇跡的に助かる。
あんな事があったけれど、今もテレビや映画で活躍している窪塚さん。
今の小学生は窪塚洋介のことは知ってる子もいるやろう。すごいな窪塚さん。

・アテネ五輪で「チョー気持ちいい!」
ガーン。
今でも普通に面白いギャクとして使ってしまいそうになるけど、10年前とは…。
しかもリアルに観ていた記憶があるのだ。
「チョー気持ちいい!」とテレビで叫ぶ北島康介は鮮明に覚えているのだ。
今の小学生は…、もうええか。


そして何が驚くかって、劇団衛星の「珠光の庵」の初演が、2004年の夏だということだ。
10年変わらず出演している…!
今と変わらない小坊主役っていうのも驚きなのですが、
なんといっても、ファックさんと私の衣装が10年前と一緒なんですね!

そしてなんというか、まあ、嬉しいかな悲しいかな、今も変わらず、観に来てくださったお客さん(主にお年を召した方)に、「かわいらしい小坊主さんやねえ〜。」と喜んでもらうのです。
いつまで言ってもらえるのかな…と最近ちょっと切なくなります。

振り返ると、「チョー気持ちいい!」のアテネ五輪よりも、もっとずっと前のような気がする「珠光の庵」。
楽しい思い出も辛い思い出も、何にも考えていなかった若かった自分。
必死で先輩についていきたかった演劇はじめたばかりの自分。
まだ生まれていなかったあの子が、大きくなってちょうど小坊主さんくらいの年齢になって。

思い返すと…「なんも言えねえ。」

まさに北島選手 
「このとき、お世話になった方々への感謝を口にしようとしていたが、こみ上げてくる思いで言葉が出なかった」
と同じ心境とでも言いましょうか!

10周年です。ありがとう。ほんとうに。関わって支えてくれた人がめちゃくちゃいる作品です。
そしてこれからもどうぞよろしくお願いいたします。

劇団衛星「珠光の庵」
初上演!滋賀公演 
   3月8日(土)15時
     8日(土)19時
     9日(日)15時
6年ぶりの上演!京都公演
  3月15日(土)15時
    15日(土)19時
    16日(日)19時
公演情報> http://www.jukou.info/