おしゃれ雑誌編集部! 〜演劇人スタイル〜
vol.19
「演劇人の結婚について」

インタビュー/金乃梨子
(俳優/てんこもり堂 http://tenkomoridou.at.webry.info/



2012年3月にご結婚された金さん(よ!新婚さん!)をゲストにお迎えして、「結婚」についてインタビューさせていただきました。
金さんの真面目な話しを聞いているうちに、色々考えさせられたり、こんなふざけたコーナーであることを申し訳なく思ったりしました。
ですます調が最後の方にめちゃめちゃになってるけど、どうぞ気にしないで!
(インタビュアー/紙本明子)


金「もともと結婚する気もなく、子どもを産みたいという思いもなかったんですよね。
正直両親の姿をみていて、結婚に憧れはもてなかったから、わざわざ結婚して子供産んでと残すものを作らなくてもいいんじゃないかって思っていました。
でも妹は同じ両親を見ていたのに、自分は結婚したいと思ったみたいで、ちゃんと家庭を築きたいって思ってたみたい。不思議やね。」

――妹さんは結婚してるんですか?
金「私より先に結婚して、もう子どももいるよ。」

――へ〜
金「結婚する気もなかったし実家も好きやし、相方とはつきあってる時から長い事同棲もしてて、でも結婚するつもりで同棲していた訳では無く、色々話しをする時間が持てたり、相談できたり。そういうのでいいかなって思ってたんやけど、相方は、結婚の事を考えてくれてて、まあ、そろそろ大概長いこと一緒にいるし、結婚しようか。みたいな。」

――嬉しかったですか?
金「まあ、嬉しいというより…、結婚したら責任もうまれるし、仕事もしっかりしないといけない、でも芝居も続けていきたい、これからの未来について考えないといけないな。ってことは、結構話し合いましたね。
でもまあ、そんな事言ってても、演劇は出来なくなる時は出来なくなるから、まあ、もう、とりあえず結婚してみるか!っていう勢いで。」

生き方を考えた。

――実際結婚して、なんか変わりましたか?
金「結婚の後よりも、結婚準備の時に色々考えました。自分についてとか、家族について、自分の働き方、将来についてとか。
だからもう会社やめようかなって思ったんですよね。
一旦やめて、勉強し直して、必要な資格をとろうかって。このままこの会社にいてもいいんだろうかって。
私が演劇やってる事も、WSの仕事をしてることも知ってくれてて、休ませてももらえてるんですけど、仕事も片手間でやってて申し訳ないし、だから一旦リセットしたい。と上司に相談したんですけど、引き止められました(笑)」

金「金さんは誰とでも仲良く喋れて、コミュニケーションが抜群や。って。金さんに変わる人がすぐに見つからないって言ってくれたんです。それはすごく嬉しかったですね。
自分の事を考えることによって、仕事の事も上司とスムーズに相談出来たんです。自分を見つめて、考えて、とてもいい機会でした。」

相手の事を考える。

――考える、見つめなおす。ってどうやって考えたんですか?自転車にのりながらとか、紙に書いたりとか?
金「うーん、紙に書いたりもしましたよ。
自分はどうなりたいのか?って。そういう時に、漠然とですけど、子どもが産みたいかもって思ったり、ほんとに漠然とですけど。
あと、自分だけの事じゃなくて、相手の事も考えなくちゃなって。
だから仕事やめたら、生活なりたたへんよな、とか。演劇もやめるか、とか。色々書き出しました。
結婚式までの約2カ月は結婚準備のために、公演も演劇の仕事も入れませんでした。
まるっきりフリーにして、だから考え尽くせたんやと思いますね。」

金「結婚した後、旦那さんのお父さんが亡くなって、納骨が終わって一段落した時に、「あー、家族って大切だな」って思って、その時に「子どもが欲しいな。」って思いました。」

絶対結婚式を挙げた方がいい。

金「周りの既婚者の人には、「絶対、式はしっかり挙げた方いい!」ってみんなに言われましたね。写真とかで終わらさずに、式を挙げろって。
やっぱり記念になるし、親のためにも、自分たちのためにも挙げた方がいいって。あと新婚旅行も絶対行った方がいい!って。」

――え?なんでですか?
金「普通の旅行はいつでも行けるけど、「新婚旅行」は一生に一度しか無いし、新婚でしか行けないから。って。」

――本当だ。私まだ一回も行った事ないです。
二人「わははは。」

――式は挙げてよかったですか?
金「よかった!
周りの人があんなに祝福してくれることなんて無いし、「おめでとう!」って言ってくれるのが本当にありがたくてありがたくて。
それを経験する事は、本当に大きな影響があると思う。本当に嬉しかったです。」

女に生まれてきてよかった。

金「ほんとその時は、「女に生まれてよかったな。」って思ったんです。
男性もそう思うのかもしれないけど。
「女」であることをすごく意識したし、「女でよかった。」って本当に思った。
あ!あと、初めて「髪の毛」の存在を意識しました。
今まで、邪魔にならんように。くらいしか思ってなかった髪の毛やったけど、結婚式の時に、自分の髪の毛で全部なんとかしたいって思った。
女性は髪が命。みたいな事を言ったりするけど、結婚ではじめて重要だと思いましたね。」

――全然わからんその心境。金さんにまつわるその心境。体験した事ないからわからん…。結婚したい。って人に出会ってるのがいいですよね。旦那さんの第一印象はどんな感じやったんですか?
金「一番最初の第一印象は、「この人とは絶対友達にならへんやろうな。」って思った。その時は好きな人も居たしね。
でもお芝居で共演した時に、色々話しをして、「ああ、この人はこんな考えをもってるんだな〜。」と。最初に「友達にならんぞ。」って思ってた印象は崩れて行き…みたいな。」

――確かに、最初にこの人は無いって思ってる相手は、その後は上り調子やもんね。
金「そう!自分の事を好き。って言ってくる人よりも、自分に感心もってない人を追いかけてしまったり、アピりたいみたいな気持ちになるって事と似てるのかも。
あと、好きやった人と結局ダメになってしまって、落ち込んでしまって、そういう傷心の時に優しくされると、やっぱ弱いよね。」

――ははー。
金「私はそれまで、自分が好きにならんと、つきあいたいと思わんし。向こうから「好きです」って言われて、まあ、じゃあとりあえずつきあいましょうか。て言うパターンは、続かずすぐ別れる事の方が多かった。
でも初めて、「あ、この人はこんなに好いてくれてる。」っていうか、好いてくれてる事の幸せ。みたいな感じ(照)を初めて感じたかも。」

――めちゃいいな〜。
  付き合ってないけど仲良い期間ってどれくらいやったんですか? 金「結構長かったんじゃないかな、1年くらい?」

――ほお、じゃあ、1年くらいたって「まあ、付き合いますか?」みたいになったの?
金「はっきり言ったか言ってないか覚えてないけど、まあ、そういう感じやったかな。」

――理想やわ…。そういう出会いかあ。

悩みが一緒になった。

――結婚する前と結婚する後で、相手の印象って変わりましたか?
金「長いこと同棲していたから、そんなに発見はないけど…、今までは一緒に住んでても、こっちはこっち、そっちはそっち。やったけど、お金の事とかかな。個人で自由に使っていいお金でも、相手が使いすぎてたら、家のお金がなくなっていくような感覚?前より心配するようになったかな。お金の管理は厳しくなったかも。」

――なに買ってんの?みたいな。
金「そうやね、大丈夫…?みたいな。「あっちの問題」ってならなくなったな。」

――家族やな。
金「あと芝居でも仕事でも悩みを一緒に考えるようになったね。
一緒に考えようかってなった。」

――おお、素敵〜。そういう所はいいね〜〜
金「もともと、そういう考え方を持った人で、人の事も親身になって考える人やから、そこはすごいな〜って思ってる。見習わなあかんな〜って。」

――ええ人なんやろうな〜ってオーラ出てるもん。二人ともすばらしい人やね。

――腹立ったりする事はあるんですか?
金「新婚旅行で喧嘩したよ。」

――へ〜!

(略:内容は二人だけの秘密です。)

――あはは〜、それは、喧嘩になるね。
金「まあ、A型やから真面目なんよね、ぎりぎり感は許されへん!みたいな。
普段怒らへん人やから、まずいな〜って。」

――なるほどね〜

――じゃあ、結婚して良かったことは?
金「なんかー、家に居てくれはるのは嬉しいね。
二人で家にいてゆっくりできる事の幸せを感じるかな。」

――では、最後に、演劇人へのメッセージをお願いします。
金「演劇で自分を成長させる事は勿論できると思います。でも結婚して、家族つくって、子ども産んで、人と関っていくことでも、自分を成長させる事が出来るんやったら、そういうのもありじゃないって思う。
色んなやって行き方、可能性はあると思うし、演劇が出来なくなる!って思うんじゃなくて、その一歩を踏み出しながら、どういう風に演劇を続けていけるのか?を考えてみてもいいんじゃないかなと思います。
うん、とにかく、女性には結婚してみてほしい。ほんとに。」

――う〜、ありがとうございました!
(インタビュー終了)

は〜 深い。深いよ金さん。本当にあたたかいお話をありがとう!
女に生まれてきてよかった。って本当に素敵やな。それが聞けただけで、私も女でよかった。て思ったよ。
幸せになってくださいね!ってもう十分幸せやんけ!

そんな金さんは、次回ユニット美人三国志vol.1で共演させていただきますよ〜。
金さん、面白いよ〜!
http://www.eisei.info/unitB/