おしゃれ雑誌編集部! 〜演劇人スタイル〜
vol.14「ゆけ!稽古場調査隊!」

演劇人、紙本明子が欲しい物や興味のあるもの、人、あれこれをテーマに、
なるべく背伸びせず、演劇人の為のおしゃれマガジンを作ります。

「演劇人が知りたいことってなんやろう。」
14更新目にして、私ははじめて真面目に考えてみた。
演劇人が共通してやっていること………「え・ん・げ・き」

そうや!演劇人がやってることって演劇や!
演劇ってのは、稽古があって本番があって、お客さんがいて…それが演劇や!

(以下、NHK朝の連続ドラマ(関西製作風)に読んでください。)
そこで私は考えたん!
みんなが気がつかずにもとめている演劇情報てなんやろか?
それは…、当事者じゃない稽古…
そうや、みんな気がついてへん。
みんな稽古の時は自分が稽古する時なんや。
みんな稽古を見る時は、公演に参加してる時なんや。
本番に関わらへん稽古がどんな風に見えるのか、みんなそれって気がついてへんのや。
じいちゃん、おおきに!私よーやく気ーついた!
みんなに届けたい情報!
それは、稽古場情報なんや!

「ゆけ!稽古場調査隊」
始まりです。

調査隊員はもちろんわたし。
そして、第一回目の稽古場は、

写真1

「烏丸ストロークロック」
いつもブルマとかはいたり、ブラジャーになったり、ちゃらってる私ですが、烏丸ストロークロックさんが大好物なのです。
ゴクリとつばを飲んでしまう「歪んだ」感じ。マンガで言うと山本直樹(私の勝手なイメージ)。
私の女子心をくすぐってくるんです。
そんな烏丸さんにうまいこと言って、稽古場を見学させて頂きました!

稽古は、2月から3都市ツアーがはじまる「仇野の露」
2人芝居の3本オムニバスの作品ということで、私が見学させてもらった日は、阪本さんと桑折さん、村井さんと田中さんがお稽古。
私が行った時には既に、阪本さん×桑折さんの稽古中でございました。

写真2

再演って事もあって落ち着きの二人
シーン練習をしているところで柳沼さんは台本にさらさらとメモを…。
何を、、何を書いているのか…!
気になる私、気にしない二人
細かいセリフの修正、細かい演出の変更、役者からの意見も飛び交う。
ク、、、クリエイティブ!

「目線が違う」
「芝居が固定化されている。」
「そんなのはリアルじゃない。」
など、柳沼さんから言葉が出てきます。

「こうやってみようか」→「やってみる。」→「シーンが変わる。」
創作の瞬間ってほんとに面白い。
演出が入る瞬間が私大好きなん!(NHK風)

そして何より一番私が驚いたのが、、、
稽古がはじまって1時間 全然雑談してない…!!!

見学している私が一番緊張。
稽古するとカロリーつかうんやね。

そうこうしていると、二人のお芝居の稽古が終了。
稽古終了後にちょこっとお話を聞いてみました。

写真3

紙本「稽古に来る時緊張しますか?」
桑折さん「しないです。」
紙本「え!!怒られたらどうしようとか思わない?」
桑折さん「思わないです。リラックスしてますねえ。」
阪本さん「桑折さんは、dotsの演出やから、客演さんの中でもちょっと違いますよ。私もリラックスできますもん。」
紙本「ほへー!!」

紙本「何を考えて稽古してますか?」
柳沼さん「成立しているかどうか?を見てますね。」
紙本「成立…。」
柳沼「烏丸は形式があるものではないので、ほんとに起こっているのかなって事を見てます。あと今回は再演やから、作品がおもしろい事、おもしろい部分は分かっていて、だからこそ、余計に客観的に観ないといけない。こだわり過ぎないように…というのかな。自意識との闘いかな。地に足がついた芝居をつくりたいですね。」

そうか、柳沼さんも演劇をしながら戦っているんだな!
とかなんとかお話をしていると、、
阪本さんの後ろになにやら怪しい格好をした人たちが。

写真4

なにその手!?おい、ここは稽古場だ!
もうちょっと我慢しようよ!

と思っていたら、村井さん×田中さんの稽古だった!
なんとこちらのお二人は全くの新作だそうだ!
そして今のとこ、冒頭5分くらいの台本しかないそうだ!
最初のシーンをまずはやってみる二人。
先ほどの二人とは打って変わって、ものすごい緊張感です。

写真5

色んなセリフの言い方を指示するやぎぬーまさん
それに一生懸命答える二人。

「演劇を都合よく使わんといて。何をしようとしているのか分からない。動きが振り付けみたいになってるねん。」

ああ、お厳しいお言葉だけれども、見ていたら本当に良くわかるのですよ!
何度も同じシーンを練習する二人
汗をかいている田中くん
緊張の面持ちの村井さん
じっと見届ける阪本さん

「ごめん。ボツや。」

演出から衝撃の一言!

あれ、これってこれがシーンですか?
演劇創作しているシーン?
あれ、違う?
ああこれこそがリアル!
そうなのです、シーンがまるっきり白紙にもどった瞬間だったのです。
作っては壊す、作っては壊す、これが演劇の可能性だよね!
って事でほんとにシーンが無くなってしまったので、稽古を1時間以上も早く終わることになってしまいました。
すげ〜

同じ質問を二人にもしてみました。

写真6

紙本「何を考えながら今日稽古に来ました?」
村井さん「スゴい緊張していて、絶対怒られるやろうな…と思いながら来ました。」
田中さん「昨日、二人で自主練してやった事がどうなるかな〜と思いながら来ました。」
紙本「自主練したの?」
田中「はい。」

といって、村井さんが一冊のノートを取り出すと、二人の事細かい動きがびっしりとメモられている…!
「おおお、スゴい!こんなに細かく!」

そこでやぎぬーまさんから
「だから演技があかんねん!」とつっこみ。

型が先行してるから面白くないし、嘘っぽい。
本当にこんな風に動きながらこんなセリフを言うのか?

なるほどなるほど、納得のコメント。
意気消沈な若手二人ですが、まあ、、、若いからいいよね!!

そんなこんなで、ひとしきり興奮した私。

紙本「いや〜 楽しかったあ〜。」
編集長「おお、良い記事かけそうか?」
紙本「あ、編集長!はい!記事って言うか、私の感想文みたいになると思いますけど!」
編集長「ところで、演出家の柳沼さんの顔写真が見当たらんのやけど。」
紙本「えーっと、えーっと。あれ?ないっすね。」
編集長 ぼかーん!!
紙本「ってえ!さーせん!興奮のあまり、撮影し忘れました!」
編集長「演出は劇団の顔やぞ!しかも他の写真も画質わるいし!」
紙本「さーせん。なんせ1回目やったんで勝手がわからず…!」
編集長「まあ、ええわ。しっかり御礼ゆーとけよ。」
紙本「はい!」

編集長 スタスタスタと去って行く。

しまったな〜 ほんまに柳沼さんの後ろ姿しか撮れてない。
ところで、なんで芸術センターに編集長がいたんやろう。
そういえば、編集長っていつも何してるんや。どこの誰なんや…?あれ!?
(つづく)


急なお願いにも関わらず稽古を見学さてくださった烏丸ストロークロックさん。本当にありがとう!本番頑張って下さい!

烏丸ストロークロック『仇野の露』舞鶴・津・岡山/三都市ツアー
2月19日〜 舞鶴公演からスタート!
台本・演出:柳沼昭徳
作曲・演奏:山崎昭典
ゲスト演奏:中川裕貴(N.O.N. swimm)※津公演のみ
出演:阪本麻紀/桑折現/中嶋やすき(劇団ひまわり)/新田あけみ/村井春也。(何色何番)/田中浩之(Will Be SHOCK Entrance Gate)

http://karasuma69.org/