妄想劇場 ー最終回ー


うおおおお〜〜〜〜
これは、これははずかしい!そして嬉しすぎる!
でもダメだ、、、私、乙女チックになれない、、、。

こんな時は、東京の大学生とかはどういう展開になるんだ!?
7月くらいからはじまる夏の恋愛をメインにしたドラマでは、どういう展開になるんだ!?
誰か今すぐ教えてほしい。
でも嬉しいねんから、なんとか答えなくては・・・。

ポール「なんかごめん、僕めっちゃ恥ずかしくなってきた。」

紙「え」

ポール「とりあえず、餃子食べようか!」

紙「そ、そやね・・・!」

ああ〜、ちょっと待ってくれー、、、。

「餃子のタレ、お好みで、酢入れてくれていいしね。」

「あ、はい。」

餃子を食べるが、味が分からない。
なんで、なんも言えなかったんやろう。
「ありがとう。」とか「私も。」って一言いえば良い話しやったのに。

すっかり会話が無くなってしまった。
どうしてポールは何も喋ってくれないのだ。
だいたいいきなりそんな事を言う君が悪いんじゃないか。
さっきまで普通に楽しかったのに、「彼女いるけど好きや。」と言われて、
何て答えたらいいのかなんて、私に分かる訳が無い。

私は、ポールと付き合いたい、と思っていたのか?
うおおお、なんで想定してないんだよ!私の馬鹿!
くそう!世の中って結構進展が早い!
私のような古い人間には、あまりにも早い!
21歳、しっかりしろよー。
ああ、だんだん落ち込んで来た。
泣きそうだ。


「・・・、紙本さん、どうしたん?ごめん、元気ないみたいやけど、
やっぱり僕が悪いよね?」

「いや、ごめん、なんか、色々びっくりしてしまって。」

「そうやんな、ごめん。ごめん!」

「いや、嬉しかったし大丈夫。」

「え・・・?嬉しかった?」

「うん。」

「ええ!じゃあ、つき合ってよ!」

「ええ!」

「彼女と別れるから!」

また告白されたよ!なんて答えるんだよ!

「でも、私、処女やで!」

沈黙。

!!!なんて事を、言ってしまったのだ・・・。
あああああ〜、死にたい〜。

「そうなんや。としか言いようが無いねんけど、、、
僕は問題ないねんけど、その、僕と初めてはイヤってこと?」

「い、いいいイヤって事では無くて、その、
年上としての役割というものを求められていたら、
そいつは違うぞって事を、まずその言っておかないとと思いまして・・・」

「あははははははは!」

ポールはその後、笑い過ぎて死ぬのではないか?と思う程爆笑し続けていた。
素直な気持を言えばいいと思ったら、とんでもないことを口走ってしまった私。
でもそれが私なのだから仕方が無い。
素敵な言葉でお返事しようと思っても、出て来ないのだから仕方がない。
やっぱりなんでも経験なのだと思う。
男性に甘えた事の無い女は、いきなり甘えられないと思う。

世の中の半分は、ドラマのようなセリフで出来ているのだとも思う。
どんだけドラマティックになれるか?が、
豊かな恋愛を経験できるかどうかにかかっているのだと思う。

芋のような女から、一夏明けるとエロに染められて色っぽくなった女の子を見ると、
「ドラマティックな恋愛とセックスをしたんだろうなー」と思う。
そして、それは素敵でうらやましい。

物心ついた時から、「女」である事を意識する女子と、そうでない女子(私)では、
このハードルの高さは違うかもしれないけれど、女は女。
穴があるならそこにつっこめです。
フェロモンがあるなら、それを出せです。

その日は、とにかく餃子を食べて、とにかくいっぱい喋った。
キスは餃子の味であったことは、言うまでもない。


「愛している。」という言葉を、まだ男性に言った事がない女性へ。

一緒に頑張ろう!


おわり。