妄想劇場ーその9ー


家に帰ってそのままベットにもぐり込む。
情けなくって泣く。21歳。
年下のしかも好きな人に、呆れられた。
あー、情けないよ。

大人になるということは、過酷だ。
自分の責任なんだ。そりゃそうか、自分の人生なんやもん。
自分の人生を人にせいにするほどむなしくてダサイ事はないし。

あー、どうするのよ私。
そして自分がなぜ泣いているのか、考えてみる。

かなしいから→何故?→呆れられたから→何故?→何にも考えてないから→何を→就職とか卒業後を→なんで考えないの?→・・・。

なんで考えないのか?
めんどくさいから?
子どもだから?
大人になるのが怖いから?
やりたい事が無いから?
大学で陶芸してるんやから、やっぱり陶芸教室?も違う。。。

理由は、全部だ。
簡単に言えば、「最近の子」なんや。
私は、どうするのか・・・。

そういえば、ポールは就職ってゆってたなー。
何の就職につきたいんだろう。
それ聞いてなかった!
うー!気になる、気になる!!

大学に入って役者をやっている彼、一体なんの就職につきたいのか・・・。
気になる、気になる

メールで聞いてみよう!!

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件名:今日はありがとう。
《今日はお昼、ありがと〜う。あのー、ひとつだけ気になる事があって、今更なんやけど、、、
鮫島くんは、どこに就活するの?》
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送信。

困った時は、人に聞けばいいのだ!

ピロロロロローン ピロロロロローン
は!電話だ!
〈鮫島信吾〉
どひゃ!電話がかかって来たー!

「もしもし!」

「もしもーし、鮫島です。」

「ああああ、ごめんメール、いきなり」

「あっはっは、いいよいいよ。どうしたんいきなり?」

「あああ、あの、今日卒業後の事話した時に、なんかあまりにも自分が格好悪くて、、
ちゃんと考えないとあかんなーとか色々考えている内に、いきなり気になってしまって。。」

「そっか、なんか僕こそゴメン。偉そうに」

「いやいや!全然!!私がダメやから、むしろありがとうですよ。はは。」

「そっか、よかった! ちょっと責めてしまったかとおもって、気にしてて、偉そに言ってしまったなーって。メールくれてありがとう!ほっとしたよー。」

〜ドキーン〜 あー幸せや〜。「へへへ。21歳やのに、泣くなよって感じやね。」

「え!泣いてたの!?ごめん、ごめん!」

「あああ!いやいや、自分が情けなくてやから!」

「僕もさ、そんな偉そうに言える程考えてる訳じゃないねん、ただ就職するしかないだろうなー。ってくらいやから。別になりたい職業がドーンってあるって訳じゃないし。」

「そっか、でも考えてるだけ偉いよ。」

「紙本さんも考えてるやん。泣く程なんやから。」

「・・・。そう?」

「そうやん、普通年下にあんな事言われたら、怒ったり変な意地はったりしちゃうんじゃないかな」

「私、考えれてるの?」

「と、僕は思うよ。それに今からしっかり考えたらいいやん。」

またしても泣けてきた。
またしても年下の好きな人に泣かされた。
励まされて。
はは、情けなーいね〜。

「紙本さん、もうご飯食べた?」

そういえば、家に帰って何も食べてなかった。

「あ、食べてない。」

「よかったら、晩ご飯一緒に食べよ!」

「えっ あ」

「餃子作ってるねんけど、すごい量になりそうやねん(笑)都合悪い?」

「全然!すごくお腹空いてる!」

元気になったらいきなりお腹が空いた。マンガみたいな私。
急いでおめかしをして、ポールの餃子屋へ!

松ヶ崎の私の家から、北白川のポールの家まで自転車で10分
コンビニでビールを買って
aiko を歌いながら

4月の夜は、風邪が冷たくて肌寒い。
今の私にはちょうどいい。

つづく