『へーへーへー』

昨日、木の棒を拾った。
家の中で。

「おや?」

と、思った。
仕事が終わり、
いつものように帰り道に牛丼チェーンに寄って晩ご飯を食べようかとも思ったのだが、その日は何だか胸騒ぎがしていたのだ。
早く家に帰った方が良いのではないかという根拠の無い不安が、お店の前に来た時にどうしようもないぐらい胸に広がっていた。
こんなことは私の41年間の人生でもそんなに無い。
25歳の時に一度、37歳の時にもう一度あったぐらいだ。
二度とも特に何もなかったのだが、この感覚は忘れがたい。
「また来たか」
と思いながらコンビニでおでんを4種類、12個ぐらい購入して、急いで家に帰った。
一人で食べるにしては多すぎるだろうと思ったのだが、おでんはいつも買いすぎてしまう。
玉子は5つも買ってしまった。
この胸の不安は何なのかと思いながら鍵を開け、ドアを開けると、玄関に木の棒が落ちていたのだ。

「親?」

と、思った。
もしかしたら母親か父親が私の不在中に家に来て(※合鍵は両親しか持っていない)何か忘れ物をしたのかとも考えたが、両親の家からここまでは3時間30分かかるので、来るとしても何か連絡はあるだろう。
だが。
だとしたら。
この木の棒は何だ。
今日、家を出る前は確かになかった。
何だこの木の棒は。
1メートルもある。
だが問題は高さでは無い。
太さだろう。
太い、
太すぎる。
そして持てないぐらい重い。

呆然としながらおでんを食べた。
玉子は5つもあった。