『胸をかきむしる』

俺は気付いたんだ。
白書って、そういえば一体何なんだろうと。
俺は白書のことをなんとなく知っているつもりだったのだけど、
秀実ちゃんに夜明けのTOKYOで
「あなたとのあばよ白書を更新するわ」
と告げられた時に気付いたんだ。

白書ってなんだろうって。

白書って更新するものだったのかなって。
ていうかあばよ白書?って。
秀実ちゃんの髪は風になびいていて美しかったし、
その瞳には色々考えさせられることが多かったけど、
俺は「白書」にとらわれてしまった。

その程度だったのか。
むしろそれ程だったのか。

今まで40年以上生きてきて、
それこそ様々なことに
胸がかきむしられてきたけど、
白書はなかった。
ばんばひろふみさんのいちご白書をもう一度だって何度も聴いてきたはずなのに
その時は何も思わなかった。
あの時そう思っても良かったはずなのに。
白書問題を私はそのままにしてきたのだ。

秀実ちゃん、いや、珠美ちゃんだったか。
名前もあやふやになったのと同じく、
顔も曖昧になってきた。
TOKYOだったのかKYOTOだったのか。
夜なのか朝なのか。
昼ではないはずだったが、もはや自信もない。

白書問題以前の問題もあるのかもしれない。
人生はかくも難しいものなのか。