『over the border』

過度な接触を禁じられた私はまるでいつもと違う生活をしいられている。
あの日以来、私は日常を失った。
接触していた様子が、ある日白日のもとに晒され、それが過度だと断罪されたのだ。
苦しい。
制限された接触などに意味はない。
適度な接触に何の意味があるのだ。
接触できていたからこそ私は社会生活が営めているのだぞ。
破綻はすぐそこまで来ているのかもしれない。
頭の中で考えていることは接触することだけだ。
いかにして世間を欺き接触し続けられるか。
お金がかかるかもしれない。
信用を失うかもしれない。
でもやるしかない。
いくら私がこれは普通だと訴えても、
過度か適度かは当事者で決められるものではないと、
判定委員会の方々は表情一つ変えずにおっしゃる。
「もう何度も何度もそんな戯言は聞いてきたのだよ」
という判定委員会の方々の心の叫びが痛いほど伝わってくるような無表情だった。
状況が変わらないのならば、
侵すしかないない、
ルールを。
欲望のままに生きて迷惑をかけて暮らしてしまう価値があの接触にはあるのか?
わかっている。
価値はない。
ただ、私には必要だっただけだ。
深い深呼吸をして。
私は接触し始めた。