『後悔の深夜2時』

何を今更と思う100円玉がポケットから出てきました。
深夜2時の自宅での出来事です。
お昼間に舐めた飴の袋をポケットにねじ込んだ事を思い出し、
捨てておこうとまさぐったのです。
そんな矢先の出来事でした。
外では雨が降っています。
私は100円玉を財布にしまうと、
「くそが!」
とつぶやきました。
飴の袋をゴミ袋に捨てて、
冷蔵庫を開けて、
プチトマトを1個食べました。
それからもう寝ようかと思い、
だけどプチトマトが意外にも私の気持ちの清涼感を増してくれた事が嬉しくて、
再び冷蔵庫を開けてプチトマトをもう1個食べてしまいました。
清涼感度は、意外性が無くなった分、「普通」にはなりましたが、満足はできました。
寝よう、今度こそ。
そう思いました。
だけど。
ああ、
もう一度、
たまらなくなって、
「くそが!」
とつぶやいてしまいました。
100円…100円…
あの時も、あの時も、私は100円が欲しかったのです。
100円玉がないからあきらめたあの瞬間。
返して下さい。
いえ違います!
100円玉ではありません。
あるはずだった思い出をです!
あるべき100円玉を、私は見逃したのです。
「くそが!」