『ブンブン』

たくわんばかりをみつめて、
ずいぶんと長い間みつめて、
そしたらなんだかノドが渇いてきました。
それでも
それからも
私はかなり長い間そのままたくわんをみつめ続けました。
離れられなかったのです。
なんておいしそうなんでしょう。
なんて魅力的なんでしょう。
ちくしょう! 
なんておいしそうなんでしょうか。
なんて魅力的なんでしょうか。
なぜ今まで気付けなかったんでしょうか。
たくわんとの関係をなぜ今まで築けなかったのでしょうか。
愚かな男であります。
でも。
今はその事に気づけた事だけでも褒めてやってください。
それは「かわいい」といった方がふさわしいのかもしれません。
長い間みつめていたので、
もうノドがカラカラです。
ですから、

「よし、麦茶を飲もう」

と決意をかためました。
そして、とはいえやはりたくわんをみつめ続けていたい欲望にはあらがえなかったので、
たくわんばかりをみつめながら麦茶を飲んだのです。
…そうしたら、
おいしくなかったなぁ。

おいしくなかったです、麦茶。