『雨が』

雨が降っても傘をささなくなったのは何故だろう。
そんな決意をしたわけでもないのに、
いつの間にか、
気が付いたらささなくなっていった、
それから、
ものすごく濡れるようになって、
色々と困るようになった。
できれば傘をさしたいけど、
私は ささない。
さす理由があって、
ささない理由などない。
オーベイビー。
なぜだろう。
雨が降る朝。
家でじっとその事を考えていた。
出かける時間になって、
傘を持って外に出て、
そして、
ささなかった。
どしゃ降りの雨の中を、
ポケットに入れた携帯電話を水没させながら、
財布に入れたお札をシワシワにさせながら、
カバンに入れた文庫本をゴワゴワにさせながら、
歩く。
濡れる。
もうたくさんだ。
雨は嫌いではないけど、
憂鬱だ。
着替えをたくさんカバンにつめこみ、
タオルもたくさんつめこみ、
それらも全部濡れる。
濡れてしまう。
助けてほしい。
傘をさしたい。
私は傘をさしたいんだ。