『ウィーアー』

「ウィーアー」
バケツ3杯の水をあいつにぶっかけてやったら、
あいつはビチョビチョになってしまった。

「携帯電話がポケットに入っていたんだぞ」

と、あいつは言う。
怒っているのか泣いているのか呆れているのかよくわからない表情だ。
そんな様子をみてゲラゲラ笑う。
「ああ、なんて面白いんだ」
と、思う。
あいつが怒って俺に何か怒鳴りつけながら向かってきそうになるので、
走って逃げる。
「生きてる」
って思うんだ。
そしてその時が、私のクソッタレの人生 でも、
そいつを少しだけ肯定したくなる瞬間なのだ。

いや、もちろん。

こんな人生も、
こんな肯定の仕方も、
ベストで無いことはわかっている。
けれど「しょうがないんだ」と自分に言い聞かせて、
私はちょっとだけハッピーになることにしたんだ。

それでいいのか?
と問うならば私に紛れもないハッピーを与えて欲しい。
これをハッピーに思い給え、ではなくて。
紛れもないやつだ。