「そこにある危機」

ロボットたちは元旦を恐れていた。
そのおめでたさに恐れおののいていたのだ。
だから。
ロボットたちは汗をかきはじめた。
冷や汗をかきはじめたのだ。

博士たちはロボットが汗をかきはじめたことに驚き、集まって対策をたてはじめた。
喧々囂々(けんけんがくがく)の議論が何時間も続き、
そして、彼らは途中で気がついた。

「汗をかいたっていいじゃない」
「ロボットだって汗をかいたっていいじゃない」

うんうん、と皆うなずいた。

「汗をかくって素敵じゃない」

と誰かが鼻の穴をふくらませて言った。
うんうん、と皆うなずいた。

それからは博士も放っておいた。
故にロボットも元旦を恐れ続けたのだ。

彼らは知らなかった。
その汗は冷や汗だということを。
元旦を恐れているということを。
恐怖は連鎖するということを・・・