「スマートフォン爆発事件の事」

さわやかな季節だった。
私はその季節に合わせるかのようなすこやかな気分で家にいた。
恥ずかしながら、薄着だった。
薄着というよりは、
「全裸ではない」
と表現したほうが良いだろう。

そしてそのまま、お昼ご飯に、昨日の残りの冷めたカレーを、温かいご飯にかけて食べていた頃だ。
ただただ私は無心で食べていた。
おいしい、とも、おいしくない、とも、思えなかった。
味わえていなかったのだ。
そして、

私のスマートフォンが 爆発した。

突然、のようで、必然な事がたくさんある。
なんてことだ。

私はうろたえた。
うろたえながらちょっと服を着た。
不安な気持ちになったからだ。
何かに抱きしめてほしかったのかもしれない。
ちょっとだけ服を着たのだ。

そして私は飛び出した。
昼下がりの町を、ちょっとだけ服を着たおじさんが駆け抜けていったのか。
そうなるだろう。
恥ずかしいことになったものだ。
でもしょうがない。
いてもたってもいられなくなったのだ。
そうしないと泣いていたかもしれない。

家で一人泣くよりは、まだ。
まだ良いだろう。

ああ。