「王さまの指令」
ワキ毛がニョーンとした男を探せという指令を王さまから授かりましたので
「ありがとうございます」
と、力の限りを尽くして叫びました。
叫びまわりました。
当時の私の心の内を問われたならば、
本当のことを述べさせてもらえれば、そこまで力の限りをつくして感謝していたわけではありません。
ですが。
ああ。
ただただ私は王様に気に入られたかったのです。
王様の言うことに全力で反応する私が、その王様の眼に少しでも可愛くうつればと思ったのです、願ったのです。
あの時。
直立不動で、
天を仰ぎ、
ガタガタ震えながら叫ぶ私を王様が見ている。
あの時のことはあまりの興奮状態のためうっすらとしか覚えていません。
ただなぜか、
「勃起したら終わりだな」
そう思ってゾッとしたことを覚えています。
幸い(当たり前の話ですが)、勃起はしませんでした。
3日ほどして簡単にワキ毛がニョーンとした男を発見できました。
「ワキ毛がニョーン」とした男というのは
果たしてどんな状態の男なのかと当初は不安でいっぱいだったのですが、
出会った瞬間わかりました。
それはたしかにニョーンとしているとしか表せないワキ毛だったのです。
これで王様の私への評価が上がるかもしれない、
そう考えただけでもう・・・・あるものが止まりません。
どうしよう。
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