「椅子に座る音」
バスに乗って家に帰ろうと思っていたのにいつの間にか24時を過ぎてバスももうありません。
「腹がへった」
24時も過ぎたバス停にはあまり人もいませんから結構なボリュームで自分の気持ちを言うことが出来ました。
私の場合バスに乗れなかった事よりも腹がへっている事の方が問題が大きかったのです。
早く家に帰って美味しいおかずで白ご飯を食べたいんだよね。
そうだよね。
私は決意しました。
ならば歩いて帰ろう、と。
バスで20分ぐらい、距離にして7キロメートルぐらいだと思われます。
バス代の230円をおかず代に上乗せすればその分おかずの幸せが増す!
歩いた分のカロリーが消費されてそれが空腹というスパイスになり、ご飯の幸せが増す!
悪い事ばかりではありません。
歩いて帰ろう。
そして歩いて40分ぐらいたった頃でしょうか。
心がポッキリと折れてしまいました。
しんどい。
思ったよりもしんどい。
道中まだ半分ぐらいしか来てない。
途中、自販機で2本ぐらい飲み物も買ってしまったので今もうすでにおかずの幸せは消えました。
空腹感は消え去り、ちょっとした吐き気が生まれていて、ご飯の幸せもなくなってしまいました。
俺にはもう何にもない。
何もかも失ってしまった。
そうだよね。
泣きながら歩いていました。
真っ暗なバス停が見えて来ました。
今まで車内の立場で何気なく通過してきたバス停です。
そのベンチに泣きながら座りました。
その瞬間、何かがフワッと私を包み込みました。
敗北感です。
きっと。
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