「岩戸山のコックピット」開催を記念して、特別編集でお届けします。 劇団衛星のメンバーそれぞれが、出演団体のあの人この人をマッチングする対談企画。 10月公演本番まで連載予定!

『岩戸山のコックピット』プレ企画・出演者クロストーク・リレー(6)前編

「音楽のコックピット」に出演するお2人に好きなCDを持ってきてもらって、その話を聞こうというのが主な企画の趣旨です。なんか話してる時間がすごくゆっくり感じたというか。お2人から大切な話をお聞きしているような。ほぼ初対面同士の3人だったので、ものすごい不安だったんですけど。
少なくともぼくは、このお2人の出す音楽に、今、興味ビンビンです。
この想い、伝わってほしい。
ぼくの文章力と構成力よ、頼むからその想いを伝える邪魔をしないでくれ!
と願うばかりです。
それでは、お時間ある時にでもごゆっくり、読んでくださいませ!
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吉見「あの、これの2曲目を。」(とCDを差し出す。)
ファック「あ、”踊ってばかりの国”!」
吉見「昔、よく対バンしてたんですよ。彼らはガーンと売れたけど、ぼくは地べた這いずり回ってます(笑)」
(曲がかかる)

LINK
♪踊ってばかりの国 『!!!(チック・チック・チック)』

ファック「ああ、ラジカセにすごい合ってる音やな…。あ、そうや。自己紹介しましょう。」
吉見「”劇団しようよ”の音楽家の吉見拓哉です。よろしくお願いします。」
ファック「”劇団衛星”のファックジャパンです。」
横山「えー、どうしましょう。私、一応、あの”オトヤ名曲デリバリー”っていう名前で出てたところ、依頼を受けたので、オトヤ名曲デリバリーで今回も出ます。懐メロばっかりやってます。横山です。よろしくおねがいします。」
吉見「今かかってるのは、”踊ってばかりの国”の『!!!(チック・チック・チック)』という曲です。最近ぼくがライブでカバーしてる曲です。」
ファック「お芝居の音楽だけじゃなくて、自分でも(音楽活動をされているんですか?)」
吉見「そうですね。全然演劇関係なしに自分の活動も最近多いですね。」
横山「ソロですか?」
吉見「そうです、弾き語りで月5本から10本ぐらいやってます。岩戸山のコックピットにも出はるchoriさんが ”二条NANO”っていうライブハウスでブッキングもしてはって、それで呼ばれて行ったりとか。choriさんとも1回ライブハウスで対バンしたことあったり。choriさんは詩人の方なんですけど。」
横山「朗読?」
吉見「バンドを後ろに従えて、”choriバンド”(という名前)で、むっちゃファンキーでかちっとした演奏をバックに従えながら、すごいあの、侘びサビのような動きというか間の入れ方で詩を読みはったりとか、そういうことをしはる人です。…あ、choriさんの話をしてしまった。」
ファック「ハッハッハ。ありがとうございました。」


ファック「どうしましょう、何かかけましょうか?」
横山「そうですね。みなさんはどういったアレで(選んで)、持ってきてはるんですか? やっぱり好きなやつって事?」
吉見「そうですね。あと最近聞いてるやつと。」
横山「私、最近全然聞いてないやつ持って来ちゃった。」
ファック「あ、それはなぜ、持ってきてくれたんですか? それ聞きましょうよ。」
横山「フフフ、いやぁなんとなく…(と、言って持ってきてくれたCDを見回す)」
ファック「あ、”フィッシュマンズ”」
吉見「ああ、”フィッシュマンズ”」
横山「じゃあ、”フィッシュマンズ”にしましょうか。」
吉見「”踊ってばかりの国”から”フィッシュマンズ”って色々…」
横山「えー、なになに?」
吉見「ボーカルの下津くんは怒るやろうけど、”踊ってばかりの国”は”フィッシュマンズ”に影響を受けてるって、あの、大人たちによく言われてますよ。」
ファック「ああ、声が似てるんかな。」
(フィッシュマンズの曲をかけに行ってくれる横山さん)
横山「曲名を…覚えてない」

LINK
♪フィッシュマンズ『宇宙 日本 世田谷』の中の1曲 ※曲名忘れてしまいました…

ファック「あ、わかります。そうですよね。7曲目、とかで覚えてますよね。」
吉見「ぼくも自分でカバーしてへんかったら、絶対曲名覚えてない…。」
ファック「”フィッシュマンズ”は一通り持ってはるんですか?」
横山「いや。でも…5,6枚持ってる。一通りかな?」
ファック「リアルタイムですか?」
横山「リアルタイムです。でももう終わりの方かな。1回ライブを観に行ったんです。」
吉見「すごいなー。」
(しばらく曲を聴いて)
横山「これはラジオで聞いて。その頃はまだ楽器してなかったんですけど、なんか名前がずっと(記憶に)残ってて。学校の生協のCD購買部にあって、これだー!って、買ったの。」
ファック「ラジオで聞いたやつ、これや!って。すごい。」
横山「覚えて買いに行くっていう脳がなくて、一回もそういうのをちゃんと買いに行ったことなくて。これは偶然目に飛び込んできました。」
吉見「ラジオで”フィッシュマンズ”を聞くって良いですな。」
横山「はい。ピッタリ〜!」
吉見「なんか夏の夜になるとラジオでかかってるイメージですよね。あ、最近ラジオを買ったんですけど」
横山「いいですね〜」
吉見「もうずっと、家でも外でも自分が選んだ曲しか聞かへん暮らしをずっとしてたんですけど、いざ手に入れて、ふとした時に電源入れて聞いてみると、全然、自分の意図してへん曲が流れて、それを聞いてるってのがなんかすごい…。あ、でも、まだ買って1週間もたってへんのですけど。…次、ファックさんの番ちゃいます、曲かけんの」
ファック「あ、ぼくはじゃあ、ロックンロールを。」

Modern Lovers Live
♪ジョナサン・リッチマン&モダンラヴァーズ『アイスクリームマン』

ファック「これ、”ジョナサン・リッチマン”っていう人の、”アイスクリームマン”っていう曲なんですけど。元々3分ぐらいの曲なんですけど、これはライブ盤で。なんかサビの部分を何回も楽しそうに歌いなおすのが好きで。『ワンモアタイム!』って言うて、サビを何度も繰り返して、8分ぐらいやるっていうのが…」
吉見「”トムウェイツ”にも”アイスクリームマン”っていう曲ありますね。全然雰囲気ちゃいますけど。」
(横山さんがちらっとCDを見せる)
吉見「ああ、持ってはる!」
横山「でも、”アイスクリームマン”は入ってない。」
吉見「俺、”トムウェイツ”は3枚ぐらい持ってきてます。」
ファック「ぼく、黒いジャケットのやつが好きやねんけど。あれ、何やったけかなー(スマートフォンで調べはじめる)」
吉見「黒いジャケット…。そんなん、”トムウェイツ”にいっぱいありますよ(笑)」
横山「(アイスクリームマンを聞いて)カントリーですか。この人、歌い方、不思議ですね。民謡のような、寝起きのような…。」
ファック「あ、これや。(スマートフォンでみつけたトムウェイツのアルバムを見せる)」
吉見「ああ。俺、これ、今日持ってきました!」
ファック「ええ!」
横山「なんですって〜。通じ合いすぎてます。」
ファック「ぼく、7曲目が好き」
吉見「7曲目ってなんでしたっけ」
ファック「ネイバーフッド。」
吉見「ああ、ネイバーフッド!俺、それ絶対かけようと思ってたんですよ。」
横山「(ジョナサン・リッチマンのCDを見ながら)これ、でも、タイトルが変すぎません。…モダンラヴァーズ?」
ファック「そうです。”ジョナサンリッチマン&モダンラヴァーズ”。曲名も変なん多いんですよ。”アイムアリルダイナソー”とか。」
横山「ぼくは小さい恐竜さ(笑)」

Swordfishtrombones
♪トム・ウェイツ「ネイバーフッド」

吉見「PVがいいですよね。”トムウェイツ”が初めてつくったPVが”ネイバーフッド”らしくて。色んな人を引き連れて行進するっていうPVで、良いんです。」
ファック「なんかこの対談の終盤みたいな曲かかってるな。」
吉見「”トムウェイツ”って、なんか葬式で流してほしいみたいな曲いっぱいありますね。」
横山「…もし、すごいわがままが何でも通じるなら、こういう音楽がしたいんですよね。でもこういうような音楽がしたいと思った時点で、やってはいけないという気もするというか。」
ファック「どういう事ですか?」
横山「演奏する前に『こんなんが』って言ってる時点で、何か…。フワーってやってみたらそうなったっていうのが理想というか…。それに、こんな低い声で歌えないし(笑)」
吉見「わりとぼく、モノマネから入ったりしますよ。ガラガラのしゃがれ声みたいなんで歌ったりするんですけど。あの、高校時代に”ミッシェルガンエレファント”のモノマネし続けたら声が枯れたみたいな。」
ファック「嬉しかったんちゃう?」
吉見「声枯れて嬉しかったです。酒そんな飲まれへんのに、声枯れて。完全に十代の後半にチバユウスケ(※ミッシェルガンエレファントのボーカル)のモノマネし続けたせいで。」
横山「この人、最初からこんな声なんですかね。」
吉見「いや、若いときはそんな、しゃがれてないみたいですね。」
横山「笑っちゃいけないけど…」
吉見「トムウェイツも酒飲めないらしいですからね。」
横山「えーーーうそだーー」
吉見「酔いどれ詩人のキャラを守るためにバーボンとかでうがいしたりして、段々歳とともにガラガラになったらしいですよ。半分伝説みたいな話ですけど。」
ファック「ええ! がんばってるなー。」
横山「瓶からそのまま飲んでそうですけどね、ウィスキーとか。」
吉見「あ、トムウェイツは、奥さんができてから音楽性変わったみたいですよ。なんかずーっと奥さんと共作してるらしいです。それは良くないわよみたいな事、奥さんにすごい言われてるらしいです。」
横山「えーー、いい話。なんか私、一人でやってるから良いと思ってた。」
ファック「じゃあ、次のトムウェイツに行きましょう。」
横山「でも、あんまり変わりばえしませんよ(笑)」

Black Rider
♪トム・ウェイツ『ラッキーディ』

ファック「あ、ほんまや、似たような感じの曲…。良いなー、でも。…ああ、これ良いですね。」
横山「葬式に…(笑)」
ファック「ほんまや」
横山「みんな泣くでしょうね(笑)」
ファック「良い奴やったなー感が出てますね。」
横山「歌詞がわけわからんのですよ。大したこと言ってない。」
ファック「えーー、哲学的な事言っててほしい。」
吉見「”ネイバーフッド”も、でも、大した事言うてないですよ。」
ファック「へーーー。これ、何てタイトルですか?」
横山「”ラッキーディ”。」
ファック「ええタイトル! まさに葬式にぴったり、”ラッキーディ”…。ハッハッハ、良いですねー。…でもあれですね、これ、BGMになりにくいですねー。聞いちゃう。」
吉見「泣くやつや。」
ファック「泣くやつやな。」
横山「歌詞を是非読んでみてください。私は好きなんですけど。」
ファック「(歌詞を読んでみる)…あれ? 急に変わりますね。」
横山「フフフフ。あの、まくしたててたところが、『親父が俺をひざにのせて言ったんだ。マメの缶詰が素晴らしいものだーー!』って言うところなんですよ。うん。すごいこういう演奏したいなーと思います。わけわからんまんまみんなと感動してるって。」
吉見「よう考えたらなんで泣いてんねんやろって。」
横山「そうそう、そこですね。」
ファック「豆の缶詰、あんなテンションで素晴らしいって思ったことないけどな。」


ファック「じゃあ次は吉見くん行こうか。しかし…すんげー数のCD持ってきてるな。」
横山「売り始めそう…」
ファック「あー! これなつかしい!」
吉見「これ、“ジョンスペンサー”ですか。」
ファック「うん。高校生の時聞いてたわー」
吉見「ほな、ジョンスペいきましょうか。最新アルバムもめっちゃ良かったんですけど。…やっぱりオレンジですかね」

Orange
♪ジョンスペンサー・ブルース・エクスプロージョン『ベルボトムズ』

吉見「ドラムまでマネして叩けるようになったもんなぁ…。いやぁ、かっこええな」
横山「こういうの、よくライブハウスとかで聞いてたけど、ホンモノって全然淋しくないんですね。ギターの音がものかなしいなぁって思ってたんですけど、こういうフレーズを聞いてても」
2人「え?」
横山「憧れを持って、追いかけるからものかなしいのかなって」
吉見「ああ…。でも単に(ジョンスペンサーが)アホやからかもしれないですよ」
横山「…アホなんですか?」
吉見「何でしょう、むっちゃストイックに…こう、ロックの爆発してる部分だけやってるというか。バンド数十年やってるんですけど、バラードみたいな曲、全然やれへん。ほとんど全部わめいているというか」
横山「割と歌が少ないのは、この曲だからですか?」
吉見「いやー、ほとんど歌ってないです全部。メロディもくそも、客を煽るためだけの、というか」
横山「フレーズさえも無い感じですね。…リズム?」
吉見「ブルースとか、ファンクとかパンクとか、わけわからんまま混ぜたみたいな事を当時(※90年代初期)言われてましたけどね」
ファック「今そこそこのおっちゃんやろ?」
吉見「もうそうですね、50歳手前」
横山「それでもバラードはしない?」
吉見「しないっすね」
2人「(笑)」


ファック「次へ行きますか?」
横山「うーん、もっといっぱい持ってきたらよかったですね。…じゃあ、”クレイジーキャッツ”行きますか?」
ファック「いいですね!」
横山「銭のないやつは俺ンとこへ来いって何曲目だったかな?」
吉見「あ、それってクレイジーキャッツの曲やったんですね。」

ベスト・コレクション
クレイジーキャッツ『だまって俺について来い』

ファック「クレイジーキャッツって、すごい曲いいですよね」
横山「そうなんです、意外と曲良いんですよ、クラシックで弾けそう」
吉見「ここまで古い日本人の方は聞かないですね…」
横山「なるほど、好きじゃない」
吉見「なんか、演歌的な匂いがちょっとすると、湿ってると思ってしまうというか」
横山「ああ。でも私、湿りけ大歓迎!」
ファック「ぼくも湿りけ大歓迎ですね!」
吉見「ぼく、なんかこう、クール? カラっ? としてるのが良いというか。外国人の湿ってるやつは聞くんですけどね」
横山「ああ、でもそれわかる気がしますよ」
ファック「ぼく次ちょっと、めっちゃ湿った曲かけてみますね」

歌は歌のないところから聴こえてくる
♪早川義夫『人間のバラード』

ファック「虫だ、まだ虫だ、人間のバラード。って歌うんですよ。今度生まれたら人間になりたいって」
2人「(笑)」
横山「この人、フォークですか?」
ファック「元々フォークグループにいて、ソロになって、しばらく本屋さんやってたんですけど、また復活したんですよね」
吉見「ああ、俺も毛嫌いせんとこんなん聴いてみよかな」
ファック「歌詞は大槻ケンヂなんですけどね」

(3人しばらく聴く ※以下、『人間のバラード』の歌詞)

『鳥に生まれりゃ 足がとがるし
花に生まれりゃ 雨にこがれる
ネジに生まれりゃ油まみれさ
ヒルに生まれりゃ 血をすする 』

ファック「ネジに生まれりゃって、どういうことなんやろう」

『人に生まれりゃ 友達できる
気さくな友とおしゃべりできる
人に生まれりゃ恋もできるの
やさしい人が抱きしめる』

ファック「けれどまだ蟲なんですよね…」
吉見「そんなん、しんみり言わんといて下さい(笑)」
ファック「でも3人で聴いてるからまだ良いけど、1人で聞いてたらね」
横山「この気持ち、わかる人います? 私、何となくわかるんですけど」
ファック「いやぁー。でも、家やったらこんなんですよ、ぼくも」
吉見「全然関係ないですけど、ゆらゆら帝国に『昆虫ロック』っていう曲がありますね」
横山「私、小学校の時に戸川純を聴いてたんですけど、『虫の女』ってのが、好きでしたねー」
ファック「なんやろう、虫に対する憧れがあんのかな」


横山「どんどんオシャレにいこうみたいな感じが、なんか私の中でカチッと焦点が合わないって言うか。しゃらくさいぜじゃないけど。懐メロを老人ホームでやった時のおじいさんおばあさんの、なんかこうグッと来る感じ、これが私らの音楽なんやって。それは、実際聞いていたからって事もあるけれど。やっぱり、なんかこう地べたを草履ひきずりながら歩いてるような、日本人の垢抜けない感じが、そこで明らかになっていくっていうか。私はそういう意味で、懐メロをやると今まで何となく、うーんって思ってたところが、パーっと明るくなるっていうか。ダサくて恥ずかしいんだけど。できるなら友人たちには見られたくないって思いながら、でもなんか”お富さん”をやったりして。そういうせめぎ合いみたいなのはありました。道をグルグル歩いてチンドン屋さんでやる時もあるので、本当に知り合いに会いたくないって思いながら(笑)、あ、よいしょ♪ みたいな事言いながらやってた頃もありました」
ファック「懐メロが、なんか(自分は)生まれてないですけど、しっくりくるというか」
横山「そうなんですよ、懐かしいんです! なんなんですかあれ」
ファック「懐かしいと思っちゃいますよね」
横山「たぶん昔の歌謡曲って、(日本が)ロシアに影響されてる時代はロシアン民謡のテイストを真似してたり、中華風の曲もいっぱいあるんですけど、やっぱり民族音楽を土台にしてるから、どんな人にも懐かしく感じるのかなとか思ったり」
ファック「はぁ…。そういやぼく最近、家では民族音楽ばっかり聞いてますね。そっちの方がしっくりというか落ち着くというか」
吉見「ぼく、1988年に、昭和の終わりの年に生まれてるんですけど、僕ぐらいの年齢の奴が一番最初にどこで音楽に触れるかって言うたらゲームなんですよ」
ファック「あーなるほど!」
横山「そういやそうだ、そうだねぇ」
吉見「テレビゲームって、ファイナルファンタジーとかクロノトリガーとかは、BGMに割とアイリッシュであったりクラッシックであったりとかの、いろんな音楽の引用を使っていて。ぼくも最近民族音楽とか聞くとなんか懐かしいなと思うのは、そっからきてて」
ファック「はー」
吉見「面白いなと思って。なんか世代とか違っても、その、ゲーム音楽と懐メロは全然違うんですけど、民族音楽が懐かしいって思うところは通じるところがあるんやなって」


横山「日本の古い音楽は聞きたくない・・・?」
吉見「はっぴぃえんど…辺りは聞くんですけどね」
横山「あのへんまだはカフェっぽい物ですよね。…私は喫茶店が好きなんですかね」
吉見「なんか…哀しみをアピールされると、ひいてしまうというのがあるんですよ」
横山「急にどないしたん? みたいな感じ」
吉見「そんな哀しくない時もあるしと思ってしまう」
横山「でも、たしかにそれは謎なんですよ。なんでそんなに哀しい歌を歌い続ける人が存在してるのかなぁって。なんでおじちゃんとおばちゃんはそんなに哀しい歌が好きなんかなって、私、最近想像するんですけど…。人間は人生の哀しさみたいな、『想ってたのに結婚できなかった』とか『大恋愛の末の離れ離れ』みたいなのにすごいシンパシーがあるというか。それは憧れですらなく」
ファック「うんうん」
横山「人間って色んな人の人生を知ってるのかしらって。そうでなければ演歌が流行るわけないんじゃないかなって」
ファック「北国の歌とかね…。雪がつもって云々とか、ハッて思いますね。行ったこと…」
横山「ないのに!」
ファック「ないんですよ」
横山「今日持ってこようと思ったCDがあって。なんか慰問みたいな形で、白梅町にある聖ヨゼフ整肢園に依頼されて行ったら、ちなみに先月来た人たちのやつですってCD-Rをもらって。クラッシックだったんですよ。」

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というわけで次回へ続きます。
横山さんのおっしゃる「人間って色んな人の人生を知ってるのかしら」という言葉に、ぼくも(多分)吉見くんもズブっと前のめりになりました。