「寿司屋 ON THE 寿司屋」

まず我々が寿司屋をどう考えているかというところから始めたい。
寿司屋は寿司を販売しているお店屋さんである。
私はそういう認識で三十一年という年月を生きてきた。
それなのに。

どういうことだろう、

ここではお寿司を販売していないのだ。
紛れもなく寿司屋のこのお店で、
さっきからハンバーグばかりが目に付いて仕方がないではないか。

だが、
だがハッキリと全てのハンバーグが美味しそうなのだ!

それは、もう美味しそうなハンバーグが置いてあるお店は寿司屋でもあるという結論でいい。
それでいい。
そう思わせるに充分な説得力はあった。

だけど、

この違和感はどうしても拭えないのだ。
実際私が食べたハンバーグも相当美味しかった。
想像していたよりも一段階上の味だったし、なにより和風おろしハンバーグ
を食べたのだ。
だけど私にはどうしても拭えなかった。
食べながら思わず叫び出しそうになってしまったほどだ!

「ここは寿司屋じゃない」

ああ、21世紀。
それが私が寿司屋に違和感を持った最初の世紀であった。

どこへ行く?
どこへ行くというのだろう。

寿司屋は寿司屋の上に建っていてほしい。
これは、願いである。