「嘘」


昨晩ご飯を食べ終わった後、なぜか胸騒ぎがとまらず、何かに追われるように気がついたらお米を3合も炊いていました。
しかし。
本日から私は一週間ほど旅に出る予定ですし、一体3合もどうすれば良いのかと今私は途方にくれているところです。
炊いている途中から
「これはもしかしたら」
と、うすうす感づいてはいたのです。
そして炊き終わる頃には確信していました。
「しまった」
と。
「俺はもうだめだ」
と。

なぜこんな意味のない炊飯をしてしまったのか自分自身でもわからないのです。
こんな炊飯は二度としたくない。
いや、こんな炊飯は許されない。
許されるはずがありません。

私は、思うのです。

しかしまだ間に合う、と。

例えばその時私がお腹がすいていて、いてもたってもいられない状態だったとしたら!
だとしたらノご飯が食べたい。
ご飯が食べたいはずです!
もしゃもしゃとご飯が食べたくて仕方がないはずです。
お米によく合うおかずを用意して、それはもう一心不乱に食べまくって、ああ、それはなんとも気持ちの良さそうな風景です。
そして私は今その風景を現実にできる状況にある。
あるのです。
だとしたら。
ああ。
だとしたらおかずは豚のしょうが焼きになるでしょうか豚のしょうが焼き?
豚のしょうが焼きうん、いける!
おかわりできるでしょう。
しょうが焼きならば恐ろしいぐらいにご飯が進んだとしてもおかしくはないでしょう!
これなら勢い余って3合ぐらい炊いてもおかしくはないでしょう。

基本的に私は大飯喰らいなのです。
お腹がへっていて、
気が焦っていて、
おかずが豚のしょうが焼き。
これならば3合を炊く理由はある。
理由の無い3合にならなくてすむ。
すむのです。
けれどそうやって自分自身に嘘をつくためには少なくとも2合は食べなければならないでしょう。
でないとさすがの私もそこまで思い込めないし、説得力もありません。
けれど正直に申し上げれば私のお腹はただ今満たされております。
とても2合は食べれそうにありません。
それどころか1合さえも怪しい。
でも私は食べなければならない。

食べなければならないのです!