「禿げ」


なぜなのかわからないがぼくは禿げています。

「ああ、残念なことになってしまったね」

と、周りの人からたまに言われますが、そんな時には、ぼくはジンワリと悲しくなってくるのです。
小学生の頃から色々なコンプレックスを抱えていたぼくですが、まさかここにきて「禿げ」のコンプレックスが加算されるなんて思ってもいませんでした。

なぜぼくは禿げてしまったのでしょうか。

父親だって、
祖父だって、
親戚だって、
血縁関係にある男性は記憶にあるかぎり誰も禿げてはいないのに

髪だって、
染めたこともないし、
整髪料のたぐいも使ったこともないし、
ましてやぼくは30年間の9割近くを短い髪で過ごしてきたのです

それなのに
なぜだ
なぜなんだ!

これから産まれてくるであろう息子たちに申し訳がないなとある方に言ったところ、

「息子のことよりもその前にまず、みっともなく禿げてしまった君のその頭でそもそも結婚できるかどうかを心配したまえ」

と注意されました。

ああ、ギャフンというのは、こういう時に使うのだなど思いましたね。