「それでもぼくは生きている」

大学時代所属していたラグビーサークルの後輩と、先日久しぶりに電話で話していたら、今さらながら嘆かれてしまったのです。

ぼくは当時、そこのサークルで二年ほどキャプテンを務めていたのですが、
彼が言うには

「中学、高校、大学とラグビーをやってきましたけど、キャプテンがマネージャーと付き合ってないケースっていうのは、先輩が初めてでしたから、本当にびっくりしました。まさかそんなことがあるのかって…、だから正直先輩は、ぼくのラグビー人生の汚点なんですよ。…すいません。でもキャプテンやったら、やっぱりマネージャーと付き合っていてほしかったです」

そう言いながら彼はさめざめと泣きはじめたのです。

ショックでした。

卒業して5年目にして初めて聞けた後輩の本当の気持ち。

しかしそれは、ぼくにとってあまりに切なく、重たいものだったのです。

「それは…もしかして、みんなそう思ってたのかな」

ぼくは意を決してそうたずねてみたのですが、電話の向こうで、けれど彼は何も答えてはくれませんでした。
ただ泣き声だけが、それからしばらく聞こえてくる。
そんな、春の午後でした。