「思春期」


誰が呼んだか
ミッドナイトエンジェル
土曜の夜になると
オレの背中には
翼が生えてくるようになったのさ
マシンにまたがり
限界までぶっとばすと
オレは
他の奴らには見れない景色や
味わうことのない感覚を
週末のほんの一瞬たけ味わうことが
できる
オレは天使に
なれる
そう
オレは天使だ
警察も恋人も法律も
オレを止めることはできない
そう
オレは天使だからだ
オレを止めることができるのは
天使さんだけだ
天使を止められるのは
天使さんだけなのさ
そう
天使になって初めてわかることがある
この世界にはいっぱい天使さんたちがいて
音楽を奏でていたり フルーツを食べたりしている
天使界の中ではオレはまだまだベイビーだ
「スピード出しすぎだぜ」
スピード取り締まり係の天使さんに言われちゃ仕方ない
びびってたじろいでいるわけじゃないが
スピードを落とす
スピードの出しすぎは危険だからと
天使さんは言う
そう
出しすぎはたしかに危険だ
なんでもそうさ
それは真理なのさ
オレはスピードを落とす
そしたら
でも
そしたら
そう
オレの背中の翼はなくなるのさ
天使さんが見えなくなるんだ
悲しいぜ
悲しいのさ