「誰にも言えない」

この人のパーマは良いパーマだ

さわってみると

なんともあったかい

あてたてみたいだ

実際あてたてなのかもしれない

どちらかはわからない

でも

実はけっこう

どちらでもいい

と思う

それよりもなによりも

今はこのパーマをさわっていたい

小さな疑問は

良いパーマの前ではすぐに消えてしまう

あったかくて

気持ち良い

ふかふかとしたものの前では

そこらへんは

どうも仕方がない

うん

そうだ

ぼくは続けたい

やっぱりさわり続けたいのだ

ぼくは

このパーマを

あったかいパーマを

ずっと

ずっと

さわり続けていたいのだ

けれど

もっと言えばぼくは

にぎってみたい

と思う

この人のパーマを

あったかいパーマを

おもいっきり

力強く

にぎりしめたい

おもいっきり

力強く

わしづかみたい

でも

言えない

言えやしない

さわっているだけでも迷惑そうな顔をしているのに

とてもそこまで

ふみこめない

ああ

でも

にぎりたい

にぎりしめたい

今すぐにでも

ぎりしめたい

そしたら

きっと気持ち良いだろう

ぼくは

つかみたい

わしづかみたい

今すぐにでも

しづかみたい

そしたら

きっと気持ちが良いはずだ

ああ

なんだろうこの気持ちは

こんな気持ちになったのは初めてだ

と思う