「ラグビー部物語10」

二年目の夏合宿も、おばけ騒ぎやらなんやらがあったが一応無事終了し、いよいよ三年の先輩たちにとっての最後の大会が近付いてきていた。
正直、みんな不安であった。
春合宿での完敗以来、練習メニューもキツくなっているし、最初はついていくのに精一杯だった地元強豪校との合同練習も、ゴールデンウィークや夏休み、夏合宿と、やりたおしていたおかげでこの頃はもう普通になっていた。
だから自分たちは強くなっているはずだ、と思いたいが、やはり不安なのである。
ここ二年公式戦いまだ未勝利の我々にとっては、このチームでの最後の試合を一試合でも長くやるためにも、一回戦で負けるわけにはいかないのだ。
そんな我々の不安をみすかしたかのように先生は練習試合を組んできた。
相手は去年よく練習試合をしていたところで実力は互角、ただ向こうの方が断然ヤンキー度が高かく、いつもむちゃくちゃ口汚なくののしられていたところだった。
結果、一蹴。
「え、ほんまに」
 というぐらいあっさり勝ってしまった。
これは今年は良いところまでいくぞと、みんな思っていた。