「ラグビー部物語7」

屈辱の春合宿以来、練習はとても厳しいものになっていった。なんといってもぼくが半泣きになったのはゴールデンウィークの合同練習であった。
先生の卒業校であり、大阪府内でも強豪校の一つとしてその名をとどろかせていた高校とのゴールデンウィーク合同練習。
・・・本当にその学校に行くのが嫌だった。関係ないが駅からとても遠いのも嫌だった。些細な事だが電車の乗り換えが嫌だった。そして本当にスクラムを組みたくなかった。
・・・組みたくなかった。
「組みたくないんだよっ!」
油断すれば叫びだしそうだった。
向こうチームが重くて重くてたまらなかったのだ。
しかし、である。ぼくには一つの希望があったのだ。苦しい苦しいゴールデンウィークを乗り越えたぼくに待っているのは、楽しい楽しい修学旅行であったのだ。
楽しい、ハズであった。
班決めまでは、楽しかったのである。
修学旅行の班決めの時間。それはキャッキャッ、キャッキャッと仲良し同士で集まって、クラスの中はそれはそれはとても楽しい時間になっていた。
それから5分後、であった。
「はい、それじゃ席について」
担任の先生は騒がしくなっていたクラス内を静かにすると、こういったのだ。
「まだ班決まってへんやつ、手挙げろ」
ぼくはゆっくりと手を挙げていた。
先生のその言葉はまるで、
「クラスに友達おれへんやつ、手挙げろ」
と言われているみたいで、手を挙げるのがとても悲しかった。
「3人おるんか、ほなお前らで班つくり」
先生の言葉により、ぼくらは互いに一言も喋った事もない同士で班をつくる事になったのだ。
旅行中に消灯時間前に寝ていたのは当然ぼくたちの班だけであった。