「閑話休題」

ぼくの通っていた高校は神道の学校であったので、一年生は夏になるとお伊勢さんに二泊三日だかなんだかでお参りしに行く事になっている。
伊勢修養学舎と呼ばれるこのイベントの最大の目玉は、毎朝六時に五十鈴川につかり身を清める、「みそぎ」というものがあった。
夏とはいえ、五十鈴川は恐ろしいぐらいに冷たく、そこに何分間かつかる、というのは正直辛い。
けれども実はもっと辛いのはその前の準備体操なのである。
みそぎの前の準備体操がラジオ体操であるハズもなく、踊るのである。ハチマキをしめて、海パン一丁でみんなで踊るのである。
基本「イェイ、ホー。イェイ、ホー」と、うたいながらボートのオールをこぐような動きをしつつ、その間に「たまーたまるーたまー」と、となえて上に伸びたり、なんやかんや五分ぐらいはそれをやるのである。
ただでさえ恥ずかしいのにぼくがソレをやっている時は、遠くの方で外国人が写真を撮りまくっていたので、もう本当に恥ずかしくてたまらなかった。
それよりもなによりもぼくらが衝撃的だったのは、ぼくらは海パンだったのだが新道の先生はふんどし一丁で、しかも毎朝横キン丸出しだったのである。帰ってから先輩にその事を言っても、次の年後輩にその事をいっても、やっぱり横キンが丸出しだったそうで、毎年丸出しのようなのである。
それを聞いて、不思議に感動した。