『黒木陽子の百人一首を斬る!』
(略して『陽子の百人斬り!』)
【第九十九回】

【原文】
人もをし人も恨めし
味気なく世を思ふ故に物思ふ身は
[後鳥羽院]

【読み】
ひともおしひともうらめし
あじきなくよをおもうゆえにものおもうみは

【意味】
人があるときは愛しく、またあるときは恨めしく想われることだ。
この世をつまらなく思って物思いにふけっているこの身にとっては。

【斬る!】
あ〜とうとう。99首まで参りました。
百物語だったらここでおしまいにしないと、
化け物が出てきますなぁ。

長かった4年間。長かったな〜。

そんな感慨でいっぱいすぎて、
さっぱり歌の内容が頭の中に入ってきません。
いかんいかん。

気を取り直して。

この歌は、
愛しく思われたり恨めしく思われているこの「人」が、
いったい誰を指しているのか?
というところが、ポイントと見た!

ーーーーーーーー

生徒A「特定の人ではなくて、承久の乱で敗れた自分を見限った人たち全般を指しているんだと思います!」
生徒B「そうそう。後鳥羽上皇って争い敗れて隠岐(島根県の北方の諸島)に流されたんですよね」
生徒C「え〜。そうなんだ。でも、その戦いで、幕府と朝廷の力関係がはっきりしたということだね」
生徒A「武士の時代が本格的に始まる!ってわけか〜」
生徒達「なるほどな〜」

(そこへ、少女たち登場)

少女A「ちょ待てよ!やっぱり恋人のことじゃね!」
少女B「ていうかさこの腐敗した世界に落とされて来てさ、信じられるものっつったら」
少女C「愛じゃなくない?」
少女達「椎名林檎みたいな〜」

生徒B「ちょっと待ってよ!そんな軽いわけないでしょ!」
生徒C「私たちの古文をけがさないで!」

少女B「はぁ?古文は受験だけのもんでもないだろ!」

生徒たち「あなた達に、古文を語る資格はない!」

少女C「なにお〜」

(少女達と生徒たちケンカをはじめる)
(と、そこへ黒木登場)

黒 木「やめないか!」
みんな「黒木さん!」
黒 木「古文は誰のものでもない!みんなのものさ!」

みんな「・・・みんなの・・もの?」

黒 木「そうさ!
♪ひとり〜ひとりの解釈は〜違っても〜
 文法の捉え方を〜間違っても〜
 作品背景が分からなくても〜
 作品を愛するこころがあれば〜
 そして〜インターネットがあれば〜
 いくらでも〜いくらでも〜
 想像力は広がるのさ〜? 」

黒 木「♪ヘイカモン!♪」
コーラス「♪ディスカバー古文!♪」

生徒A「私、この《人》って、北条家のことじゃないかと思う!」
黒 木「オッケー!じゃお次はあなた!」

コーラス「?ディスカバー古文!?」

少女A「私は、そうだ!藤原定家ってのは?!なんか禁断の愛って感じ!」
黒 木「クール!じゃお次はあなた!♪あなたあなたあなた〜」

生徒B・少女B「奥さん!」
少女C「母親とかじゃない?」
生徒C「エディプスコンプレックスね!」

黒木「♪ほらみて定家〜素敵な〜(素敵な〜)古文の世界が〜」
みんな「♪ひーろーがーるー」

(鳩が飛び、風船が空を舞う。紙吹雪が止まらない。)

みんな「(イエーイ!!・きゃっほー!など。口ぐちに。)」


ーーーーーーー

何じゃこりゃ。

まあ、脳みその中はこんな感じで、
今まで連載を続けてきてました。

私は、そんなことよりも、この歌が流刑地から届いたときの
彼のお友達の気持ちが知りたいです。
きっとそれが後鳥羽上皇の狙いやね。

次回、最終回です。

(現代語訳・作者解説は、Webサイト小倉百人一首さん http://www.watarase.ne.jp/hyakunin/から引用しました。)
過去ログindex■