黒木陽子の百人一首を斬る!』
(略して『陽子の百人斬り!』)
【第九十五回】

【原文】
おほけなくうき世の民に覆ふかな
我が立つ杣に墨染の袖
[前大僧正慈円(さきのだいそうじょうじえん)]

【読み】
おおけなくうきよのたみにおおうかな
わがたつそまにすみぞめのそで

【意味】
身に過ぎたことであるが、現世の人民が、比叡山に住みはじめた私の仏道修行によって、平穏におくることができるように、私は努力する。

【斬る!】
杣山って知ってる!
『妖怪始末人トラウマ!』に出てきた〜。
木を切る山のことやんね〜。

ほうほう。
比叡山は天台宗の総本山で、「仏教によって日本を平和にし、人民の生活を安穏にするために最澄が建てた」のね。
そして、この歌が詠まれたのは平安末期で、飢饉や病気・戦乱が続いていた時期なのね。

へ〜。
その気持ちは偉いッ!
「あんたの祈りが何になる」と、一瞬思ってしまってごめんなさい。

あれ?そういや、百人一首って、戦の歌が無いな。
恋だの秋が寂しいだの世の中はあわれだの漁師だの、そんなんばっかり。

へ〜。
私、「平和っていいよね」という気持ちとか、戦争とか兵士とか武器とかをタブー視するのって、最近のことだと思っていたのですが、この頃もそうだったのかな?
貴族だからか?
百個集めて一つも入っていないのは意図的に外しているんでないか?と、思いますが…。
どうなんやろうか。

まあ、ええけど。
その方が私にも理解しやすいしな。

(現代語訳は、中央図書『古典の学習 小倉百人一首』から抜粋しました。)
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