黒木陽子の百人一首を斬る!
(略して『陽子の百人斬り!』)
【第八十三回】

【原文】
世の中よ道こそなけれ思ひ入る
山の奥にも鹿ぞなくなる
[皇太后宮太夫俊成(こうたいごうぐうのだいぶ しゅんぜい)]

【読み】
よのやかよみちこそなけれおもいいる
やまのおくにもしかぞなくなる

【意味】
無情なこの世を逃れる道はないものだ。世を捨てて分け入ってきたこの山奥にも、鹿がもの悲しく鳴くのを聞いて、心を乱してしまう。遁世とはいかに難しいものであることか。

【斬り】
これはなんかよくわかる。

会社でミスして失敗し、これではいかん!と、
気晴らしに映画を見に行ったのに、
主人公の行動に心揺さぶられ、いやな事件を思い出す・・・。

とか。
ってそんな経験は今までありません。ごめんなさい。
誰も傷つけない、うまい例えが出てきません。

今、源氏物語を読んでいるのですが、
追い詰められた女の取る最終手段が「出家」なのです。
あと、「出家したらその女に手を出したらあかん」というのは、
もうかなりバリバリのルールだったようなのです。

え〜。出家したからって、そんなに変わるか〜?

と、思っていたのですが。
出家したり隠遁生活しても、なかなか俗からは抜けられないヨネ!
そういう歌があるのはなんだか親しみがわきます。

引きこもって仙人になってしまった人に見ていただきたい。
インターネットの奥の奥まで入っていったら、
そこに「引きこもりの親の嘆き」ブログをみつけて、いたたまれなくなったり。

それでいいと思う。
私はそんなんのほうが好きです。

(現代語訳・作者解説は、Webサイト小倉百人一首さん http://www.watarase.ne.jp/hyakunin/から引用しました。)

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