『黒木陽子の百人一首を斬る!』 (略して『陽子の百人斬り!』) 【第六十六回】 【原文】 もろともに あはれと思へ 山櫻 花より外に しる人もなし [大僧正行尊] 【読み】 もろともに あわれとおもえ やまざくら はなよりほかに しるひともなし 【意味】 この深山にひとり咲いている山桜よ、私と共にあわれを感じておくれ。山奥でひとり修行をしている私にとって、花のおまえ以外に知っている人は誰もいないのだから。 【斬り】 『ER』っぽい。 ※ER…ご存知海外ドラマ。救急救命室で働くお医者さんや看護士さん、ソーシャルワーカーに患者さんの人間模様や社会問題を描くドラマ。ただいまシーズン11がNHK総合で放映中。私はようやっとハマっています。 作者の大僧正行尊という人は、12歳で出家して、17歳で修行の旅に出ているそうです。そういう人なら、こういう歌をよんでもいい! 「いまひとたびのみゆきまたなむ」 とかとは違う! ストイックさを感じますね。 青年海外協力隊で紛争地域に派遣された医師が、ゲリラにまきこまれて、捕虜になってしまったりして、なにがなんだかわからず、まさに何で医者なのに修行のような日々を送っているんだ!! というような人が、テントの脇にそっと咲いている小さな花を見つけたときに。 この歌を口ずさんでほしいと思います。 決して、「ちょっと一人ぼっちがさみしいなぁ!このさみしさをわかってくれるのは、ここで咲いている花だけだぜ!!」 というときによんではいけない。 もっと生命がかかっているときに読んで欲しい。と、思います。 私もそうします。 (現代語訳は、Webサイト小倉百人一首さん http://www.watarase.ne.jp/hyakunin/から引用しました。) |
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