『黒木陽子の百人一首を斬る!』
(略して『陽子の百人斬り!』)
【第六十三回】

【原文】
今はただ思ひ絶なむとばかりを
人づてならでいふよしもがな
[左京大夫道雅(さきょうのだいぶみちまさ)]

【読み】
(いまはただおもいたえなんとばかりをひとづてならでいうよしもがな)

【意味】
今となっては、あなたを想うことをあきらめてしまおうということばを、
せめて人伝えでなく、あなたにお目にかかって言える方法がないものだろうか。

【斬り!】
昔、なんども少女漫画でこういう場面を読みました。私。
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雅恵「私、先輩のこと、好きでした」
先輩「え?」
雅恵「でも、もう、あきらめます!エミ先輩とお幸せに!」
(走り去る雅恵)
先輩「土井!」
(走る雅恵)
雅恵の心の声「よくやった、えらいぞ、えらいぞ雅恵!」
雅恵「あっ!」
(転ぶ雅恵)
雅恵「痛い..」
(ふいに涙がこぼれる)
雅恵の心の声「心が...痛いよ〜!!」
雅恵「うわぁ〜ん!!」
通りすがりの中年女「(チラリ)」
サラリーマン「(チラリ)」
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う〜ん恥ずかしい。
まぁそれはさておき。
「なぜ、そんな不毛なことを言うのだ!不毛だ不毛だ!」
「言うなら、あきらめる前に言え!不毛だ!」
と、20代半ばの頃の私なら
正直そう思うに違いなかったのですが。
若さは心の狭さだね。
30歳になった私は受け入れますよ。
「もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対」
の、気持ちがわかるようになりました。(遅い!)
そりゃ、恋真っ最中の時に言ったり、
相手の迷惑かも...と考えて、こっそり旅立つことも
大事だとは思いますが。
言ってスッキリして、次に向かうのも大切ではないかと思います。
人づてに聞かせる方が、言われたほうもモヤモヤして
より迷惑ではないでしょうか。
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友達「富永くん、恵子のこと、もうあきらめたって言ってたよ」
恵子「あ、そうなん」
友達「よかったやん。ずっと鬱陶しいって言ってたもんね!」
恵子「う、うん・・・」
(恵子、なんだかもやもやする)
友達「ほんで、言いにくいねんけど、
   私、富永くんとつきあうことにしてん」
恵子「あ、そうなんや。」
(恵子、なんだか急に富永君がいい男に思えたりする)
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なんでしょう。このモヤモヤ感は。
こんなことなら、面と向かって
「もう恋なんてしないなんて言わないからな!絶対!」
と、言われておけばよかった。
自分にまつわる恋愛ごとには、
いつだって当事者でいたいなあ。
蚊帳の外はさびしいものですね。
30歳になって、さらにそう思う私であることです。
(現代語訳は、Webサイト小倉百人一首さん
http://www.watarase.ne.jp/hyakunin/から引用しました。)
おまけ:
「なんて素敵にジャパネスク」友達から教えてもらった百人一首サイト
飛訳人一首「ぼうずめくり」(音がでます)
http://www.artistbank-jp.com/p3p/game/bonz.html
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