『黒木陽子の百人一首を斬る!』
(略して『陽子の百人斬り!』)

【第五十八回】

【原文】
有馬山ゐなの笹原風ふけば
いでそよ人を忘れやはする
[大弐三位]

【読み】
(ありまやまいなのささはらかぜふけばいでそよひとをわすれやはする)

【通釈】
有馬山の麓の猪名の笹原に風がわたると笹の葉がそよそよと音をたてる。そうよ。あなたの方が私のことを忘れたのでしょう。私が忘れるはずはないじゃありませんか。

【斬り】
「笹」と「そよ」が、爽やかでなんかいい感じ。

忙しいと、恋人のことばかり考えてられへんて。
男も女も。
ねぇ。

「ほんまにお前は情の薄い女や!」
忙しさのあまり、彼氏をほったらかしてたら、こうキレられてしまいました。さああなたはどうする?

A:「こっちの忙しさをくまないお前の方が情が薄いんや!」と、逆切れる。
B:「ごめんなさい」と素直に謝る。
C:「そやで。あんたのことなんて忘れてたわ。あははッ。仕事せんでもいいくらいのお金とやりがいをくれたら考えなおすわ」と、身も蓋も無いことを言う。
D:「…」黙り込んで時間を稼ぐ。

う〜ん。
私はBやね。で、ストレスを溜め込み、別れのプレリュードを心の中で勝手に奏で始めるね。

その他の答えを見ていきましょう。

C:これはあかん。あかんねぇ。つい言いそうになるけれど、もっとひどい事を言われた時の為にとっておきましょう。
嘘。本当にそう思ったら別れましょう。なんでカップルになったんか考え直して欲しい。今ひとりやんの私としては強くそう思います。

D:うわっ。うっとうしいわ。手としては女の子らしい待ち戦法で、かわいいのかもしれんけど、なんか嫌やなあ。セコい。それに何度も使えんと思うのですがどうでしょうか。

正解は実のところ、Aやないか。続けていきたいなら。

−−−−−−−
男「情の薄い女や!」
女「有馬温泉行った時さあ…」
男「は?」
女「帰りにドライブして牧場行ったやん?え〜と…何て」
男「六甲牧場やろ」
女「それ!ほんでさ、その時風が吹いてさ」
男「え?何?牧場?」
女「うん。そうやん牧場やん。そよそよ〜ってさあ」
男「?は?何言ってんねん。そよそよ?」
女「そよ」
男「そよ?」
女「そうよ!ほらやっぱり忘れてるやん!あんたはすぐ忘れるねんから!
私があんたのこと忘れるわけないねん!
忙しい時に会ったらやっぱり私もイライラするしと思ってさ連絡せんかっただけやねん!
そんなことも忘れてるのはあんたの方やねんよ!
もう!謝って!」
男「…???え?
(有馬温泉はどうなったの?)」
女「じゃ!
そういうことで!」
男「お前はまた!
適当やろ、それ!」
女「あははははッ」
男「あははははッ」
−−−−−−−−

ほうら。
見事に丸くおさまったね!(八割以上妄想が入って参りましたが)

気まずい時は、ちょっとよくわからないことを言って、時間を稼いでる間に、次のポイントを探す。
爽やかに。

ああ。
また一つ勉強になった。
(ほんまかいな)

ちなみにこの方、紫式部の娘さんです。
いい歌やと思います。

(現代語訳は、Webサイト小倉百人一首さん http://
www.watarase.ne.jp/hyakunin/から引用しました。)


過去ログindex■